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新社長 横山氏が語るアームの国内戦略機器メーカーとの連携も強化

英Armの日本法人であるアームは2023年4月21日、同社新社長 横山崇幸氏の就任に伴う記者説明会を実施した。会場では、横山氏が、社長就任のあいさつと今後の日本法人の戦略を説明した。

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 英Armの日本法人であるアームでは、2023年3月20日に同社新社長に横山崇幸氏が就任した。それに伴い、アームは同年4月21日に記者説明会を開催。横山氏が、日本法人の今後の戦略などを語った。

国内における4つの注力分野

 日本国内における注力分野については、「国内パートナーとの協業強化」「オートモーティブ」「IoT(モノのインターネット)」「カスタムチップ採用の裾野を拡大」の4つを挙げた。

日本国内の注力分野
日本国内の注力分野[クリックで拡大] 出所:アーム

 国内パートナーとの連携強化については、シリコンサプライヤーのみならず、機器メーカーとの連携も強化していく。「最終製品に近い企業にもアームの良さを理解してもらう」(同氏)ことで、連携を強化する狙いだ。オートモーティブについては、「CASE(Connected/Autonomous/Shared/Electric)を中心にDX(デジタルトランスフォーメーション)が進み、『100年に一度の大変革』といわれる時代に来ている。日本は、世界のクルマの30%を生産している。これから重要性が増してくるソフトウェアのエコシステムや高性能なコンピューティング、自動車の機能安全性での貢献を目指す」と述べた。

 IoTでは、「ソフトウェアのエコシステムや省電力、セキュリティ関連で貢献していく。日本は、エッジAI(機械学習)や組み込みストレージ分野で強みを持っている。そういった分野において、アーム製品の導入事例を増やしていきたい」と語った。カスタムチップ採用の裾野の拡大については、アームのある一定のライセンスを無償で利用できるプログラムを用意/提供することで、アーム製品に触れる機会を増やしているという。大学や学術機関を中心に、「次世代のアーム」に触れてもらうことで、活用の裾野を広げていくとする。

 日本市場への貢献について、横山氏は、「一部では、『日本は、半導体分野において後れを取っている』といわれているが、私は期待値を高く持っている」と語った。「例えば、スマートフォンの中のモジュールやイメージセンサーなどのスペース単価が高い部分に関しては、日本の技術が多く使われている。日本発の技術だから、Armにとって優れている、とは必ずしもならない。しかし、日本法人の代表を務める者としては、日本のパートナーと連携し、発展に貢献していきたいと考えている」(同氏)

アームは、働いてみたい会社の1社だった

アーム社長の横山崇幸氏
アーム社長の横山崇幸氏[クリックで拡大]

 横山氏は、アーム入社以前、CSR(現Qualcomm)、Infineon Technologies、AMDなどのグローバル半導体企業で、日本法人の代表やセールス・マーケティングの要職を歴任。直近では、車載ソフトウェアの開発ツールを提供するETASの日本法人であるイータスで社長兼セールス統括バイスプレジデントを務めていた。

 同氏は、今回のアーム社長就任の理由について、「現在、世界人口の約7割が、Armテクノロジーベースの製品やサービスを利用している。私も前職では、『次のコアは、Armにしてほしい』と顧客から要望を受けることも多く、働いてみたい会社の1社として認識していた。今回、前任者の2022年9月の退社に伴い声がかかった。イータスも良い会社だったが、過去、半導体業界に長くいた身としては、半導体業界の方が、自身の強みを発揮できると考え、引き受けることにした」と語った。

 また、退任までの間に必ず実現したい目標について同氏は、具体的に話せる段階ではないと前置きしつつ、「一つは、大学や教育機関と連携したり、教育面で貢献したりしていきたい。理系の学生が年々減ってきている中で、魅力訴求や理系転向のお手伝いもしていきたい。二つ目は、具体名は言えないが、何社かの競合のアーキテクチャをアームに置き換え、アームのシェアを広げたいと考えている。最後は、自分の後任を育てることだ。前任の退職から、今回の就任までには空白の期間があり、大変な部分もあった。就任後は、会社をオペレーションしていくための会議に、社員にも参加してもらって、会社の運営を一緒にしていこうという動きを取っている」と説明した。

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