「日本の半導体強く」、JEITA新会長に日立社長・小島氏:経済安全保障の重要さ
電子情報技術産業協会(JEITA)の新しい会長に日立製作所の社長兼CEO(最高経営責任者)である小島啓二氏が就任した。経済安全保障の重要さに触れ、「日本の半導体をもう一度強くしたい」と語った。
DX推進や次世代育成にも注力へ
電子情報技術産業協会(以下、JEITA)は2023年6月1日、新しい会長に日立製作所の社長兼CEO(最高経営責任者)である小島啓二氏が就任したと発表した。
小島氏は就任に伴う記者会見で、近年デジタル化がますます加速していること、環境や人権への取り組みが企業価値に直結するようになってきたこと、経済安全保障への取り組みが急がれることに触れ、「JEITAはデジタル産業を代表する業界団体として、社会からの期待に応え、責務を果たしていかなければならない」とした。デジタル化の加速に関連し、ChatGPTなどの生成AI(人工知能)について「少子高齢化が進む日本で労働生産性を上げるための重要なテーマだ」と考えを示した。経済安全保障に関しては「半導体がキーコンポーネントである」とし、「半導体は多くの産業の基盤になっている。製造段階から活用方法まで、国とも議論しながら日本の半導体をもう一度強くすることに貢献したい」と語った。
小島氏はJEITAが今後注力したいことを3点挙げた。1点目は「テクノロジーの進化と社会との調和に貢献すること」だ。継続的なデジタル化投資が行われるための事業環境を整備し、法制度など社会がテクノロジーの進化を受け入れるための環境作りを進めるという。2点目は「デジタルトランスフォーメーション(DX)のさらなる推進」。JEITAは事務局を運営する「Green x Digitalコンソーシアム」でサプライチェーン全体の二酸化炭素排出量可視化の実証実験に取り組んでいる。こうした企業単独での解決が難しい社会課題について、JEITAのリソースとネットワークを用いてデータの共有と連携、活用を行い、デジタル技術で解決を図る。3点目は「次世代の担い手を育成すること」だ。意欲ある人がデジタル技術の素養や知識を広く習得することができるよう、学び直しを含めた機会を提供していくという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 成長の核はSiC、生産能力5倍に 三菱電機のパワー半導体
三菱電機は2023年5月、オンラインで経営戦略説明会「IR Day 2023」を開催。半導体・デバイス事業本部長の竹見政義氏が、SiCパワーデバイスに関する取り組みを含めた同事業の成長戦略を語った。 - パワー半導体市場、2030年に約370億ドル規模へ
パワー半導体の世界市場は、2022年見込みの238億9000万米ドルに対し、2030年は369億8000万米ドル規模に達する見通しである。このうち、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体が17.4%を占める。矢野経済研究所が予測した。 - ソニーと日立が好決算 ―― 電機8社の22年度決算を総括
2023年5月12日、東芝の決算が発表されたことで、大手電機メーカー8社の決算が出そろった。各社の決算内容および、2023年度業績見通しについてみていこう。 - ChatGPTは怖くない 〜使い倒してラクをせよ
ある日突然登場し、またたく間に世間を席巻した生成AI「ChatGPT」。今や、ネットでその名を聞かない日はないほどです。このChatGPTとは、一体何なのか。既に数百回以上、ChatGPTを使い倒している筆者が、ChatGPTの所感をエンジニア視点で語ってみたいと思います。 - 半導体業界の「攻めの国内投資拡大を支援」、岸田首相
2022年12月14日に開幕した「SEMICON Japan 2022」(2022年12月14〜16日、東京ビッグサイト)。開会式には岸田文雄首相が出席し、半導体業界について「攻めの国内投資拡大を支援していく」と強調した。 - 10年で4万人採用目指す、半導体メーカー8社が若手人材を熱望
JEITA(一般社団法人電子情報技術産業協会)は同団体が主催する展示会「CEATEC 2022」(2022年10月18〜21日、幕張メッセ)に半導体メーカー8社と共同ブースを構えた。出展したのは、キオクシア、マイクロン メモリ ジャパン、三菱電機、ヌヴォトン テクノロジージャパン、ルネサス エレクトロニクス、ソニー、東芝、ロームの8社。学生をターゲットに、半導体産業人生ゲームや半導体が使われている製品の展示などを通じて、半導体業界を身近に感じてもらうのが狙いだ。