連載
次世代移動体通信「6G」の概要:福田昭のデバイス通信(403) 2022年度版実装技術ロードマップ(27)(2/2 ページ)
今回は、インターネットと並ぶ情報通信の基幹技術「移動体通信システム」の動向を取り上げる。
「5G」の10倍を目標仕様とする「6G」
そして最近になってサービスが始まった第5世代(5G)では、過去の技術開発の主体であった高速化と大容量化に加え、「低遅延」と「多数同時接続」の2つが新しい特徴として加わった(参考記事:「第5世代(5G)移動通信システムが2020年代の通信を支える」)。
第5世代(5G)の次を担う第6世代(6G)の移動体通信システムでは、2030年代の商用化を目標として技術仕様や要素技術の開発が進んでいる。「高速・大容量」「低遅延」「多数同時接続」という5Gの特徴を強化するとともに、いくつかの機能を追加する。
「高速・大容量」「低遅延」「多数同時接続」は全て、5Gの10倍の性能を目標とする。「高速・大容量」すなわちデータ通信速度は100Gビット/秒を目指す(5Gは10Gビッt/秒)。「低遅延」は遅延時間を5Gの10分の1にする。「多数同時接続」ではサービス地域の面積(1平方キロメートル)当たりで接続可能な端末数を1000万台に増やす(5Gは100万台)。
機能追加では、「低消費電力」「自立性」「拡張性」「安全性・信頼性」がある。「低消費電力」では消費電力を現在の100分の1に下げる。「自立性」では複数の機器が自律的に連携する。「拡張性」では、あらゆる場所での通信を実現する。「安全性・信頼性」ではセキュリティの常時確保を目指す。
これらの目標仕様を実現する要素技術については、次回以降に概要を述べる。
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