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バッテリー技術は「量産への移行」が問題試作と量産は全く違う

バッテリーの技術開発は活発に行われているが、「量産」まで持っていくのは至難の業だ。

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 バッテリーメーカーは、電気自動車からスマートシティーまで、あらゆるものに電力を供給できる新しい生産施設と技術に数十億米ドル規模の投資の投資を行っており、多くの注目を集めている。バッテリー関連技術のブレークスルーの多くは現在、理論上あるいは実験室という人工的な環境でのみ機能するものでしかない。問題は、こうしたイノベーションがプロトタイプから市場規模にうまく移行できるかどうかだ。

バッテリーのイメージ
画像はイメージです

 “規模の魔術”は、最高の発明を台無しにする可能性がある。多くのアプリケーションや条件で幾度となくテストされたプロトタイプが、量産しようとすると、明白な理由もなく完全に失敗することがある。

 その教訓を示しているのがIntelだ。同社は1970年代半ば、業界で最高のメモリチップの設計と顧客サンプルを誇っていた。しかし、同社のチップは、量産すると故障率が非常に高く、利益を上げることができなかった。当時同社のCEO(最高経営責任者)だったAndrew Grove氏は、スタンフォード大学のCraig Barrett教授に助けを求めた。

 Barrett氏は基本に立ち返った。同氏はIntelの従業員と共に、別の製造ラボを使用して製造プロセスの全ステップを再現した。歩留まりが1ポイントでも下がると、Barrett氏はそのプロセスをその場で凍結して、体系的な変更を加えた。歩留まりが向上した場合、その変更を製造プロセスに恒久的に適用した。

 同氏は半導体業界で最高の歩留まりを達成し、Intelは成功した。

「コンセプト」から「市場」への移行

 驚異的なペースで成長しているバッテリー業界の勝者と敗者を分けるのは、スケーラビリティ(個々のデバイスの性能や品質を犠牲にすることなく生産量を向上させる能力)だ。

 次の4つの段階を経ることで、スケーラビリティを最大限に高められる可能性がある。

PoC(Proof of Concept:概念実証)

 このフェーズでは、あるアイデアとその設計図について、それを構築できるかどうかを判断する。この時点では、それが機能するかどうかや、選択したフォームファクターに適合するかどうかは分からない。主に行うのは、性能をテストし、設計が想定通りに機能するかどうかを判断することである。

プロトタイプの作成

 次に行うのは、バッテリーの適切なフォームファクターを見つけることだ。バッテリーの形状とサイズは限られているので選択肢は限られている。通常は、第一に実用性(設計が何に適合するか)、次に潜在顧客/ターゲット顧客のニーズによって決まる。これら両方の要因が一致すると、スイートスポットが見つかる。

パイロット生産

 このフェーズは、次の質問に答えることから始まる。

  • 提案されたバッテリーセルを、選択した構成で製造し、機能させることができるか
  • このバッテリーを、収益を上げるのに十分な高い信頼性で生産できるか
  • このバッテリーセルは、競合他社品に比べ改善されている点はあるか
  • 潜在需要に対応できる十分な量を製造できるか

 これらの質問の答えのうち、「いいえ」が一つでもあれば、最初からやり直す必要がある。さらに、量産に比べれば桁違いに小規模なパイロット生産でさえ、多くの課題が見えてくるはずだ。

生産規模

 量産には、数百万米ドルの新しい設備、十分な人員、信頼できる(材料などの)サプライヤー、(購入する)準備が整った顧客、という要素が必要になる。規模を拡大するには、アルミ箔などのロールの幅を、200〜300mmから500〜1500mmに拡大し、ラインを毎分50〜100mで移動させる必要がある。

当初から「量産」を視野に入れる

 研究室での開発の段階から、本格的な規模の拡大に備えていなければ、市場価値のある生産規模を達成し、事業を継続するのは極めて難しい。

 潜在顧客からも投資家からも、「量産に向けてどの段階にあるのか」「商業規模を達成するために、どのような準備をしているのか」といった質問が出るだろう。

 バッテリー技術のイノベーションは、明日にでもやってくるものではない。さらに言えば、あなたが想定している企業からもたらされるとは限らないのである。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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