IntelがTower Semiconductor買収を断念:中国規制当局の承認得られず
Intelは2023年8月16日(米国時間)、ファウンドリー事業を展開するTower Semiconductor(以下、Tower)の買収を断念すると発表した。Intelは、Towerに契約解除金として3億5300万米ドルを支払い、買収を取りやめる。
Intelは2023年8月16日(米国時間)、ファウンドリー事業を展開するTower Semiconductor(以下、Tower)の買収を断念すると発表した。契約期限内に必要となる規制当局の承認を得られなかったことが要因だ。Intelは、Towerに契約解除金として3億5300万米ドルを支払い、買収を取りやめる。
Intel、Towerに3億5300万米ドルの契約解除金
製造関連の戦略「IDM 2.0」を掲げファンドリー事業の強化を進めるIntelは2022年2月15日、Towerを54億米ドルで買収すると発表。同取引は、両社の取締役会で全会一致で承認されていて、Towerの株主の承認や各国の規制当局の承認などを条件に、当初、「約12カ月で完了する予定」としていたが、その後、中国の規制当局の承認を得られずにいた。2023年4月や7月には、IntelのCEO(最高経営責任者)、Pat Gelsinger氏が中国を訪問したことが報じられていて、本件に関する協議が進められたとみられるが、結局、契約期限である2023年8月15日までに承認を得られなかった。Intelは今回、契約延長をすることなく、Towerと買収契約を終了することで合意したという。契約終了に伴い、IntelはTowerに契約解除金として3億5300万米ドルを支払うことになる。
Gelsinger氏は、「IDM 2.0の可能性を最大限に引き出すためには、ファウンドリーへの取り組みが不可欠だ。Intelは2025年までにトランジスタ性能と電力性能のリーダーシップを取り戻すというロードマップを順調に実行し、顧客や広範なエコシステムとともに推進力を高め、世界が必要とする地理的に多様で弾力性のある製造フットプリントを提供するために投資している。今回のプロセスを通じて、Towerに対する敬意は増すばかりであり、今後も協力の機会を探し求めていく」とコメントしている。
Towerは、高付加価値アナログ半導体ソリューションのファウンドリーとして、シリコンゲルマニウム(SiGe)やBiCMOS、ミックスドシグナル/CMOS、RF CMOS、CMOSイメージセンサー、非画像センサー、統合電源管理、MEMSなどの幅広いアナログ技術を提供している。同社は、イスラエルに2つの製造施設(150mm/200mmウエハー対応)、米国に2つの施設(200mm)のほか、ヌヴォトン テクノロジージャパン(旧パナソニック セミコンダクターソリューションズ)との合弁により日本に3施設(200mmが2つと300mmが1つ)を有している。また、イタリアで300mm製造施設をSTMicroelectronicsと共有している。Intelは2022年2月の買収発表当時、「この買収により、われわれはファウンドリーサービスと生産能力の世界的な主要プロバイダーになるあゆみを加速し、業界で最も広範な差別化技術のポートフォリオを提供することができるようになる」などと期待を示していた。
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