Apple M2 Ultraと「たまごっち ユニ」から見える、米中半導体の位置付け:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(76)(3/3 ページ)
今回は、Appleのモンスター級プロセッサ「M2 Ultra」と、バンダイの「Tamagotchi Uni(たまごっち ユニ)」を分解。そこから、米中の半導体メーカーが目指す戦略を読み解く。
「たまごっち ユニ」を分解
ここからは、内容をがらりと変えて、2023年7月にバンダイが発売した「Tamagotchi Uni(以下、たまごっち ユニ)」を取り上げる。たまごっち ユニはIoTトイとして発売されていて、Wi-Fi通信機能を持つという大きな特徴を持っている。図5に示したように、内部はコンピュータ処理基板、リチウムバッテリー、ディスプレイ、スピーカーという構造になっている。
図6は、たまごっち ユニの基板に搭載されている主要チップの様子である。
これらの主要チップは全て、中国半導体メーカー製だ。カーナビやタブレットなどのオーディオに多数採用されるEverest SemiconductorのAudio Codec、世界的なシリアルフラッシュメーカーGigaDevice Semiconductorのメモリ、多くの組み込み製品に採用されるESPRESSIFの通信マイコン「EPS32-S3」が採用されている。これら以外にも、センサー系、電源系で中国半導体メーカーのICがたまごっち ユニに搭載されている。
図7は、メインの通信マイコンEPS32-S3のチップ開封の様子である。大容量のSRAM、通信用RF、CPUなどが1シリコンに収まっていて、このクラスのチップでは最上位のコストパフォーマンスとなっている。CPUはEDAメーカーCadence Design Systemsの「Xtensa LX7」2基に加え、RTC処理のCPUにはRISC-Vが採用されている。
図8は、たまごっち ユニに採用されるモーションセンサー開封の様子である。MEMSモーションセンサーも中国半導体メーカー製となっている。
日本はどこを目指す?
今回はモンスター級ハイエンドのApple M2 Ultraと、対局にあるトイ製品を取り上げた。ハイエンドとローエンドは対局にあるが、日本として考えておきたい題材が両者にある。ハイエンドは米国メーカーに大きく先行され、ローエンドは中国に完全に支配されてしまった感があるからだ。日本はミドルと生きるという生き方もあるだろうが、ローは時間が経てば必ずミドルに上ってくる。ハイは機能をカットすればいつでもミドルにダウングレードできる。日本の目指す方向を考えるためにも、今後もハイエンド、ローエンドともに分解し報告していきたい。
編集部からのお知らせ
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