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東芝D&S、開発中のGaNパワーデバイスを初出展2024年度の量産目指す

東芝デバイス&ストレージは、「TECHNO-FRONTIER 2023」で、SiC(炭化ケイ素)パワーデバイスの最新世代品および開発中のGaN(窒化ガリウム)パワーデバイスを展示した。GaNパワーデバイスの出展は今回が初めて。

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 東芝デバイス&ストレージは、「TECHNO-FRONTIER 2023」(2023年7月26〜28日、東京ビッグサイト)で、SiC(炭化ケイ素)パワーデバイスの最新世代品およびGaN(窒化ガリウム)パワーデバイスを展示した。GaNパワーデバイスの出展は今回が初めて。

高効率のGaN搭載パワーデバイス

 同社は2024年度にGaNパワーデバイス市場への参入を計画していて、現在、最初の製品となる耐圧650V、オン抵抗35mΩ(標準値)のデバイスを開発中だ。同社独自のノーマリーオンデバイスとカスコード構成によって、スイッチング時の電圧変化を外部ゲート抵抗によって制御可能にしたほか、高いしきい値電圧を確保し、誤動作が発生しにくくしていることなどが特長だという。

東芝GaNパワーデバイスの性能
東芝GaNパワーデバイスの性能[クリックで拡大]出所:東芝デバイス&ストレージ

 東芝D&Sは今回、ブースでGaNパワーデバイスのサンプル品を搭載した2.5kWトーテムポールPFC評価ボードおよび2.0kWフルブリッジLLC評価ボードを初展示していた。同社が各ボードで行った効率評価では、ピーク効率がそれぞれ99.4%、98.4%を達成、「全負荷において高効率を維持した」としている(下図)

2.5kWトーテムポールPFC評価ボードでの効率評価 2.0kWフルブリッジLLC評価ボードでの効率評価 左=2.5kWトーテムポールPFC評価ボードでの効率評価/右=2.0kWフルブリッジLLC評価ボードでの効率評価[クリックで拡大]出所:東芝デバイス&ストレージ

SiC MOSFETはより低損失になり設計性が向上

 ブースでは、微細化技術とセル構造の最適化によって、より設計しやすく低損失になった第3世代SiC MOSFETも展示していた。第3世代品は、パワーMOSFETの性能指数として用いられるオン抵抗×ゲート-ドレイン間電荷量の値を前世代と比較して80%低減し、スイッチング特性を改善した。また、ゲート-ソース間電圧の保証レンジが−10〜25Vと広く、設計が容易になる。さらに、SBD(ショットキーバリアダイオード)を内蔵したことで低順電圧を実現、オン抵抗の変動を大幅に抑制できるという。

東芝第3世代SiC MOSFETの性能
東芝第3世代SiC MOSFETの性能[クリックで拡大]出所:東芝デバイス&ストレージ

 同社は、同製品の用途の例として、ブースではAC400Vモーター対応の高耐圧3相インバーターのリファレンスモデルを展示していた。なお、同社の第3世代SiC MOSFETは「TO-247」パッケージ品を既に量産中だ。

順電圧と総電荷量のトレードオフを改善したSiC SBD

 このほか、ブースでは、従来の製品と比較して低損失かつ高破壊耐量を実現した第3世代SiC SBDを紹介していた。

 第3世代SiC SBDは、新しいショットキーメタルを採用したことによって、順電圧と総電荷量のトレードオフを改善。また、JBS(Junction Barrier Controlled Schottky)構造の採用と最適化により漏れ電流の低減および非繰り返しピーク順電流を実現している。

 第3世代SiC SBDは、耐圧650Vの「TO-220」「DFN8×8」のパッケージ品を量産中。耐圧1200Vの「TO-247-2L」「TO-247」のパッケージ品は2024年第1四半期から量産を開始する予定だ。

東芝第3世代SiCショットキーバリアダイオードの性能
東芝第3世代SiCショットキーバリアダイオードの性能[クリックで拡大]出所:東芝デバイス&ストレージ

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