東芝の23年度上期は512億円赤字、キオクシア不振響く:上場廃止前、最後の決算
東芝の2023年度上期決算は、売上高が前年同期比975億円減の1兆4977億円、営業損益は同196億円増の223億円、純損益は同1528億円減で521億円の赤字となった。持分法適用会社であるキオクシアホールディングスの業績不振などが影響した。
東芝は2023年11月14日、2023年度上期(2023年4〜9月)の決算を発表した。売上高は前年同期比975億円減の1兆4977億円、営業損益は同196億円増の223億円だった。純損益は同1528億円減で521億円の赤字となった。東芝が4割出資するキオクシアホールディングス(以下、キオクシア)の業績不振から同社の持分法損失761億円を計上したことなどが響いた。また、半導体やHDDを扱うデバイス&ストレージソリューションセグメント(以下、D&Sセグメント)も、HDD市場の低迷から減収減益となった。
東芝は2023年12月20日に上場廃止を予定しているため、今回が上場企業として最後の決算となる見通しだ。
HDD市場低迷でD&Sセグメントも減収減益
2023年度上期の売上高は、2022年に東芝キヤリアを売却した影響やHDD市場の低迷などから前年同期比6.1%減となった一方、営業損益は、前年同期に計上した一時的要因の改善によって713.2%増の増益となっていた。しかし、キオクシアの持分法損失として761億円(前年同期から1014億円減)を計上したことを主な要因に、純利益は521億円の赤字となった。
なお、キオクシアも2023年11月14日、2023年度上期決算を発表している。同社の上期の純損益は1891億円と、前身である東芝メモリの発足以降、同期間において過去最大の赤字になっている。
D&Sセグメントは、為替の好影響が129億円分あったものの、主にHDD事業の不調から売上高が前年同期比247億円減の3785億円、営業利益が同127億円減の75億円と減収減益になった。このうち半導体事業は、民生向けなど一部の需要減速があったものの、子会社であるニューフレアテクノロジーのマスク描画装置の販売増から、売上高は同193億円増の2320億円、営業利益は同15億円増の352億円となっている。
HDD事業は、モバイル/デスクトップHDD市場の縮小および、ニアラインHDD市場の投資抑制の影響から売上高が前年同期比440億円減の1465億円、営業利益も減収の影響で同142億円減となり、277億円の赤字となった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 東芝の23年度1Qは赤字転落、キオクシア不振が影響
東芝の2023年度第1四半期業績は、売上高が前年同期比366億円減の7041億円、営業利益が同162億円増の114億円。純損益は、持分法適用会社であるキオクシアホールディングスの業績悪化などの影響から、同513億円減となり、254億円の赤字に転落した。 - 東芝D&S、開発中のGaNパワーデバイスを初出展
東芝デバイス&ストレージは、「TECHNO-FRONTIER 2023」で、SiC(炭化ケイ素)パワーデバイスの最新世代品および開発中のGaN(窒化ガリウム)パワーデバイスを展示した。GaNパワーデバイスの出展は今回が初めて。 - 東芝D&S、耐圧2200VのSiC MOSFETを開発
東芝デバイス&ストレージ(東芝D&S)は、耐圧2200VのSiC(炭化ケイ素)MOSFETを開発した。太陽光発電(PV)用インバーターシステムの小型軽量化が可能になる。【訂正あり】 - WDがメモリ事業を分離へ、2024年下半期を予定
Western Digitalが、HDD事業とNAND型フラッシュメモリ事業の2つの会社に分割すると発表した。HDD事業がWDの社名を引き続き使用し、メモリ事業は株式を現在のWDの株主に分配しスピンオフする。メモリ事業の社名は未定だ。2024年下半期の実施を目指している。 - IPOか? 米国資本傘下か? キオクシアの今後を考える
世界半導体市場は、メモリの予想以上の低迷が主要因で、前年を下回るマイナス成長がかれこれ1年以上も続いている。今回は、メモリメーカーで唯一の日系企業であるキオクシアの今後の見通しについて考えてみたい。 - 加賀東芝、パワー半導体新製造棟の建設を開始
東芝デバイス&ストレージ(東芝D&S)は、加賀東芝エレクトロニクス(石川県能美市)で、300mmウエハー対応パワー半導体新製造棟(第1期)の起工式を行った。2024年度中の稼働を予定している。