4Gから5Gミリ波の移動体通信向けフロントエンドパッケージ(後編):福田昭のデバイス通信(440) 2022年度版実装技術ロードマップ(64)
後編となる今回は、誘電体材料パターニング方法とAiP(Antenna in Package)の概要を紹介する。
ご注意
今回は前編の続きです。まず前編を読まれることを強く推奨します。
デュアルダマシン技術によって微細な配線パターンを形成
前編(前回)では、第3章第3節第5項(3.3.5)「RFデバイスのパッケージ構造と高速・高周波向け配線材料」から、「3.3.5.1 フロントエンドモジュール(FEM)構造」と「3.3.5.2 配線材料」の概要をご報告した。具体的には、4Gおよび5Gサブ6(サブ6GHz帯)、5Gミリ波帯の移動体通信端末に載せるフロントエンドモジュール(FEM:Front End Module)と、モジュールの誘電体に要求される仕様を解説した。後編(今回)は、「3.3.5.3 誘電体材料パターニング方法」と「3.3.5.4 AiP」の概要をご説明する。
5Gミリ波帯以降の移動体通信端末に載せるFEMでは、低誘電率かつ低誘電正接、低吸水率の誘電体材料とともに、幅/間隔が10μm/10μm以下の微細な配線が望まれる。このために非感光性の誘電体材料をレーザーで削ってビアホールや溝などを作り、その後にビアや溝などを銅(Cu)をめっきで埋めるデュアルダマシン技術が開発されている。幅と間隔がともに2μmの微細な配線を製造可能だとする。
レーザーの直接描画とデュアルダマシン技術によって微細な配線パターンを作り込む工程。はじめに誘電体層をレーザーによって削り、ビアホールと配線用溝を形成する。それから無電解めっきと電解めっきを組み合わせて銅(Cu)配線を成膜してビアホールと溝を埋める。最後に化学的機械的研磨(CMP)によって表面を平坦(平たん)化する。左図は配線と直交する方向の断面構造、右図は配線と平行な方向の断面構造(左図のA-A’面)[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)
アンテナとFEMを一体化したAiP
5Gミリ波帯以降の移動体通信端末では、アンテナとFEMを一体化した「アンテナインパッケージ(AiP:Antenna in Package)」が採用され始めた。5Gサブ6帯以下の周波数ではFEMとアンテナをフレキシブル配線基板(高周波損失の低いタイプ)で接続していた。周波数が大幅に高くなる5Gミリ波帯では、アンテナをFEMの付近にレイアウトすることで伝送損失の増加を抑えたい。
AiPの開発事例を以下に示そう。一つは、アンテナ基板とFEMをはんだバンプを介してフリップチップ接続したタイプ、もう一つはFO-WLPタイプ(片面実装)のFEMに誘電体層を載せてアンテナ金属を形成したタイプである。
アンテナとFEMを一体化した5Gミリ波帯向け「アンテナインパッケージ(AiP:Antenna in Package)」の構造例(フリップチップ型)[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)
アンテナとFEMを一体化した5Gミリ波帯向け「アンテナインパッケージ(AiP)」の構造例(FO-WLP型)[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)
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