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シリコンナノ共振器構造で新たな共鳴モード発見照明光をナノ構造中心からずらす

大阪大学は、台湾大学や済南大学との共同研究で、シリコンナノ共振器構造の「ミー共鳴モード」を制御するための新たな方法を発見した。

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全光スイッチングデバイスや光アンテナなどへの応用に期待

 大阪大学大学院工学研究科の高原淳一教授らによる研究グループは2023年12月、台湾大学のShi-Wei Chu教授および、済南大学のXiangping Li教授との共同研究で、シリコンナノ共振器構造の「ミー共鳴モード」を制御するための新たな方法を発見したと発表した。

 高原教授らの研究グループは、レーザー走査顕微鏡を用いてシリコンナノ共振器の光学画像を取得し、照明位置とナノ共振機からの散乱信号強度について調べた。実験では、ナノ構造の大きさ(約100nm)まで、レーザー光を絞り込んだ。

 得られた像は、ナノ構造と照明光の中心が重なった時に散乱信号が小さくなった。これに対し照明光が100nmほど中心からずれた位置では、散乱信号が大きくなるような特異な空間分布を示した。ナノ構造に照明光が当たらない場合には、構造からの散乱信号は発生しない。

左はレーザー走査顕微鏡の原理。中央はシリコンナノ共振器構造のレーザー走査顕微鏡像。右は暗視野顕微鏡で得られた像
左はレーザー走査顕微鏡の原理。中央はシリコンナノ共振器構造のレーザー走査顕微鏡像。右は暗視野顕微鏡で得られた像[クリックで拡大] 出所:大阪大学他

 今回の研究では、集光したレーザー照明光の位置をナノ構造から約100nm変位させると、「変位共鳴」として、多重極子のような高次のミー共鳴を誘起できることが分かった。ミー共鳴モードを操作するために、従来のようなナノ構造の大きさや入射光の波長を変える必要がないという。発見した変位共鳴は、ナノ構造の温度上昇による屈折率変化を利用した、高効率の全光スイッチングデバイスや光アンテナなどへの応用を視野に入れている。

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