ルネサス、AHL向けの4ch対応デコーダーICを開発:HDビデオ映像を安価な部材で伝送
ルネサス エレクトロニクスは、オートモーティブHDリンク(AHL)用の4チャネル対応デコーダーIC「RAA279974」を開発、サンプル出荷を始めた。車載カメラから送られてくる最大4映像をワンチップで同時にデコードすることができる。
最大4映像をワンチップで同時にデコード
ルネサス エレクトロニクスは2024年1月、オートモーティブHDリンク(AHL)向けの4チャネル対応デコーダーIC「RAA279974」を開発、サンプル出荷を始めた。車載カメラから送られてくる最大4映像をワンチップで同時にデコードすることができる。
ルネサスのAHLは、変調アナログ信号を用いて映像を伝送する技術。HD映像で最大1080p/30fps、VGA映像で最大720p/60fpsの解像度までサポートしている。しかも、HD信号を伝送する場合、伝送レートはデジタル信号に比べ約10分の1で済むという。
また、非シールドのツイストペアケーブルや標準コネクターを用い、最大30mという長距離伝送が可能である。ケーブルやコネクターなど部材コストの削減が可能で、AHLビデオ伝送はノイズや干渉に対しても優れるなど、さまざまな特長がある。
ルネサスは既に、AHL向け製品として1チャネル対応のエンコーダーIC「RAA279971」とデコーダーIC「RAA279972」を発売している。そして今回、4チャネル対応のICを追加したことにより、よりシンプルなシステム構成で、サラウンドビューシステムなどを実現することが可能となった。
ルネサスでは、新製品を搭載した評価ボードに加え、4台のカメラと4つのRAA279971を搭載したカメラキット「RTKA279974ZK0000BU」も用意している。
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