ルネサスの23年度通期、減収も純利益は前年比14.7%増 堅調な自動車が下支え:産業向けは調整局面が想定以上に長引く(3/3 ページ)
ルネサス エレクトロニクスの2023年12月期(2023年度)通期の連結業績(Non-GAAPベース)は、減収で営業減益だった。自動車向けは堅調だったものの、産業およびマスマーケットの調整局面の継続が響いた。一方で、純利益は前年比14.7%増となる4329億円となった。
GaN技術「ようやく手中に」
次世代パワー半導体については、SiCは順調に進んでいるとする。柴田氏は2024年1月に発表した、GaN半導体メーカーTransphormの買収にも言及。「GaNパワーデバイスは、電源やチャージャー周りでの採用拡大が期待できる。GaNは半導体としての可能性を大いに秘めた楽しみな素材。ようやく手の内に収めることができた。技術をうまく成熟させて、われわれがリーダーシップをとっていけたらと考えている」と語った。
組織再編については、「効果の萌芽が既に見え始めている」と自信を見せる。「これまで自動車向けと産業向けで重複して開発していたものを、まとめて開発していこうという動きが活発になっている。これまでと同じリソース(人材、資金)の投入に対し、期待できるアウトプットは以前よりも大きくなるだろう。その効果が数字として見えるまでにはタイムラグがあるものの、出足としてはよいのではないか」(柴田氏)
柴田氏は「(ことしは)いい年だから、悪い年だから、ということよりも、より長期的な目線で投資を継続していく。2024年下半期に向けて、工場稼働や在庫拡充などを慎重に、かつ慎重になりすぎないように、ブレーキとアクセルを踏み分けながら進めていく」と強調した。なお、ルネサスは2005年3月期以来、約20年ぶりとなる復配の実施を発表。2023年12月期の配当について1株当たり28円の期末配当を予定している。
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