繊細な力加減を持つロボットで「職人技」も再現――リアルハプティクス:モーションリブがデモ(2/2 ページ)
慶応義塾大学発のベンチャー企業であるモーションリブは、微細なチカラ加減を制御する技術「リアルハプティクス」の研究開発/提供を手掛ける。同社は「ロボットがヒトのように動き、人手不足が解消された世界を実現」を目指しているという。【修正あり】
リアルハプティクスで、“職人技”の技術継承に貢献
リアルハプティクスを導入する場合、モーションリブでの受託開発あるいは、同社との共同開発が可能だ。また、同社は市販ロボットをリアルハプティクスで動かすための、協働ロボット用感触伝送遠隔操作ユニット「URH」を2022年から提供している。
共同研究/開発の事例としては、日鉄エンジニアリングと共同で取り組んだ、ごみ溶融処理施設における酸素洗浄作業の作業効率向上や、大林組と共同で行った、力触覚フィードバックを有する建設重機のシステム開発などがある。その他、約80社と共同研究を行っているという。
リアルハプティクスおよびAbcCoreの開発背景について、福田氏は「製造業では、“職人の感覚を頼りにしている”など、属人的な理由から、工程の自動化が難しくなっていることが多い。リアルハプティクスによって、そのような“職人の技”をデータ化し、可視化することで、自動化だけでなく、次世代への技術継承にも貢献する」と語った。
今後の目標について、モーションリブ COO(最高経営責任者)の緒方仁是氏は「ヒトの動作情報を作って公開したり、(その情報を)検索したりできる動作プラットフォームの確立と普及を目指す。さまざまな動作情報に簡単にアクセスできるようになることで、ロボットがヒトのように動き、人手不足が解消された世界を実現する」と語った。同社は、2026年までにプラットフォームを確立し、2030年までに世界的な普及を目指している。
【訂正:2024年3月6日20時09分 当初の記事では「また、同社はAbcCoreを市販ロボットに搭載した、協働ロボット用感触伝送遠隔操作ユニット「URH」を2022年から提供している」と記載しておりましたが、正しくは、AbcCoreを搭載しているのは制御コントローラーシステムです。お詫びして修正致します。】
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