表面実装型電子部品(SMD部品)の開発動向(前編):福田昭のデバイス通信(449) 2022年度版実装技術ロードマップ(73)(2/2 ページ)
前回に続き、第4章「電子部品」の概要を説明する。「4.1.2 技術動向」は、「インダクタのインダクタンス値の拡大」など、3つの項目で構成される。
インダクタンス値の増加が続く信号用インダクタ
続いて「信号用インダクタ」を簡単に説明する。信号用インダクタ(記号L)は、コンデンサ(記号C)と組み合わせてLCフィルタとして使われることが多い。特定周波数帯域の通過と余分な周波数帯域のしゃ断を目的とする。
信号用チップ型インダクタは同じ寸法でも最大インダクタンス値(L値)を大きくしてきた。例えば「0603M」サイズの最大定格は2010年に1nH前後と小さかったのが、2020年には10nHと10倍に向上した。2024年〜2028年には最大定格が22nHに増加するとロードマップでは予測する。
信号用チップ型インダクタの開発動向(0603Mサイズ、2010年〜2028年)。縦軸はインダクタンス。横軸は西暦。折れ線は予測実施年における現状と10年後の予測値[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)
「0603」サイズの高周波用インダクタは470nHが最大
「高周波用インダクタ」は当然ながら高周波を扱う。スマートフォンをはじめとする無線通信機器の高周波モジュールが主な用途である。ここでは同じ大きさで定格電流の拡大とQ値の上昇、インダクタンス精度の向上を両立させることが求められる。
「0402M」サイズのインダクタンス値を2010年に実施した予測では当時の20nHから2020年を100nHとしていた。実際には2020年の製品は100nHに至らず、56nHとなっている。今後は2028年に120nHに達するとロードマップでは予測する。
高周波用チップ型インダクタの開発動向(0402Mサイズ、2010年〜2028年)。縦軸はインダクタンス。横軸は西暦。折れ線は予測実施年における現状と10年後の予測値[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)
ひと回り大きな「0603M」サイズは、2010年の予測で当時の最大100nH強から2020年を最大390nHと推定していた。実際にはさらに大きな最大定格470nHの高周波用インダクタが2020年に登場した。今後は2024年〜2028年ともに470nHの最大定格で推移するとロードマップは予測している。
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