この記事は、2024年4月8日発行の「電子機器設計/組み込み開発 メールマガジン」に掲載されたEE Times Japan/EDN Japanの編集担当者による編集後記の転載です。
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主要GaNパワー半導体メーカー同士の特許訴訟に動き
米国のGaNパワー半導体メーカーEPCが競合の中国Innoscienceを提訴した訴訟について、両社が2024年3月末から4月にかけ、相次いで新たな動きに関する情報を公開しました。
EPCとInnoscienceの特許係争については下記記事でお伝えした通りで、EPCが2023年5月、同社の基本特許ポートフォリオのうち4件の特許に関して、Innoscienceが特許侵害をしているとして連邦裁判所および米国国際貿易委員会(ITC)に訴状を提出したものです。
この4件の特許は全てEPCが米国で申請したもので、具体的には特許第8350294号と8404508号、9748347号、10312335号。特許技術の概要については上記記事でも紹介していますが、これらはEPC独自のエンハンスメントモード(Eモード)GaNパワーデバイスの主要な設計および製造技術を保護するものだといい、EPCは、これらの特許が「GaNパワーデバイスの実用化(量産化)に貢献する技術をカバーしている」と説明。Innoscienceに損害賠償を求めるとともに、特許を侵害しているInnoscienceの一連のGaN製品に関し、米国への輸入禁止を要求しています。
一方、InnoscienceはEPCの発表の2日後、EPCが特許侵害を主張する4件について速やかに徹底的な分析を行い、知的財産権の侵害がないことを確認したとし、この提訴が「推測に基づくもので、事実無根だ」と真っ向から否定する声明を発表。同社も、あらゆる法的手段を講じて対抗する方針を示していて、この訴訟の行方に注目が集まっているところです。
Innoscience、EPC特許の有効性に異議
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