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VCSELと光拡散材を組み合わせた赤外線光源を開発:運転手や車室内をモニタリング
ロームは、垂直共振器型面発光レーザー(VCSEL)素子をレーザー光向け樹脂製光拡散材で封止した赤外線光源「VCSELED(ビクセレッド)」を開発し、試作サンプル品の供給を始めた。自動車のドライバーモニタリングシステム(DMS)や車室内モニタリングシステム(IMS)の用途に向ける。
LEDと同様のビーム角を確保、高精度でセンシングを可能に
ロームは2024年4月、垂直共振器型面発光レーザー(VCSEL)素子をレーザー光向け樹脂製光拡散材で封止した赤外線光源「VCSELED(ビクセレッド)」を開発し、試作サンプル品の供給を始めると発表した。自動車のドライバーモニタリングシステム(DMS)や車室内モニタリングシステム(IMS)の用途に向ける。
VCSELEDは、VCSEL素子と光拡散材を組み合わせ、外形寸法が3.0×3.0×0.55mmの小型パッケージに集積している。これにより、LEDと同様のビーム角(照射角度)を確保しつつ、高い精度でセンシングを可能にした。
VCSELEDに搭載したVCSEL素子は、発光波長幅が4nmと狭帯域で、LEDに比べ約7分の1である。受光側の認識性能を向上するとともに、赤外LEDを用いた時に課題となっていた「赤見え」を解消した。温度変化の影響を受けないセンシングも可能にした。波長の温度変化は0.072nm/℃で、LEDの0.3nm/℃に比べ4分の1以下を実現している。発光時の応答速度は2ナノ秒で、LEDの約7.5倍である。
VCSELEDは、2024年4月より試作サンプル品の提供を始めた。民生向け量産用サンプル品は2024年10月に、車載向け量産用サンプル品は2025年中に、それぞれ販売を始める予定である。
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