ソニーG会長が語る経営方針、過去6年で1.5兆円投資したイメージセンサーの役割は:ビジネスの軸足を「クリエイション」に(2/2 ページ)
ソニーグループは同社会長兼CEO(最高経営責任者)の吉田憲一郎氏が、同社の経営方針を説明。同社の半導体事業の主力であるCMOSイメージセンサーにの役割についても言及した。
「瞬間」を捉えるイメージセンサー技術
吉田氏はまた、「クリエイティビティは『人』に宿る。人は『今』という時間を生きている」などと述べ、ソニーグループが『リアルタイム』をキーワードに、CMOSイメージセンサーおよびゲームエンジンに注力していくとも説明した。
イメージセンサーにおいてその代表例として紹介したのが、ソニーが2024年1月に発売したミラーレスカメラ「α9 III」だ。同製品はレンズ交換式デジタルカメラとして「世界初」(2023年11月発表時点)となるグローバルシャッター方式のフルサイズイメージセンサーを搭載した製品で、全画素を同時に読み出すことで高速で動く被写体も歪みなく撮影が可能となっている。また8万分の1秒のシャッタースピードでフラッシュ同調撮影も可能で、吉田氏は「まさに究極のリアルタイム技術を体現している」などと強調していた。α9 IIIは2024年3月に英国グラスゴーで開催された世界室内陸上でも活用されたという。
また、2024年3月に発売した5G(第5世代移動通信)対応ポータブルデータトランスミッター「PDT-FP1」についても触れ、「撮影現場でのリアルタイム転送は、迅速な報道、制作を可能にしている。ソニーのリアルタイム技術はスポーツの感動を世界に届けることにも貢献している」などと述べていた。
吉田氏はさらに、映像や画像が現実の「人」がカメラで撮影したものであるか、そして、実物の被写体であるかという「真正性(Authenticity)」も重要だとし、CMOSイメージセンサーが画像の真正性検証に生かされているとも触れていた。
吉田氏はクリエイティブコミュニティへの貢献および「瞬間」をありのまま捉えるリアルタイムといった点でCMOSイメージセンサーなどの強みを発揮できるとし、これらにフォーカスすることで「世界を感動で満たすということに最も貢献できることではないかと思っている」と語った。
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