embedded world 2024で見つけた「ユニーク」な新マイコン:Matter対応品や15W供給対応品(3/3 ページ)
マイコンは、あらゆる設計に不可欠なビルディングブロックを提供し、組み込み業界の基盤であり続けている。EE Times Europeは、「embedded world 2024」(ドイツ・ニュルンベルク、2024年4月9〜11日)で新製品を発表したNXP、Microchip、Silicon Labsの3社に話を聞いた。
Silicon Labsの「xG26」シリーズ
Silicon LabsのBluetoothおよび802.15.4テクノロジー担当シニアプロダクトマーケティングマネジャーを務めるMatt Maupin氏は、EE Times Europeに対し、「当社の低電力『xG26』シリーズのSoC(System on Chip)およびMCUは、Matterに対する市場の需要の高まりに対応することに重点を置いている」と語った。同氏によると、新しいxG26ファミリーであるマルチプロトコル2.4GHzワイヤレスSoCおよびMCUは、ホームオートメーションやセキュリティから産業用IoT(モノのインターネット)、スマートシティー/ビルディング、商用ユースケースまで、幅広いIoTアプリケーションを対象としているという。
Maupin氏は、「Matterは発表から1年半しか経過していない規格で、現在も進化を続けている。当社は同規格への対応に全力で取り組んでいる。この新シリーズでは、新機能やライフサイクルの長い製品のユースケースを予測し、より多くのリソースオーバーヘッドの需要に応えている。開発者は、規格の進化に伴って、自社のデバイスが新しい製品機能やセキュリティのアップデートに対応できなくなることを懸念することがある」と述べている。
xG26シリーズは、マルチプロトコルSoC「MG26」、BLE SoC「BG26」およびMCUの「PG26」で構成されている。Maupin氏は、「xG26は『xG24』ファミリーと比較して、フラッシュとRAMの容量を倍増させた。メモリを増やしたことで、開発者はデバイスの将来性を確保し、ファームウェアのヘッドルームを増やすことができる」と述べている。
さらに、汎用IOピンの数も倍増させたという。同氏は、「開発者は最大64のGPIOピンにアクセスできるようになり、より多くの周辺機器との接続が可能になり、システムインテグレーションの課題が大幅に軽減された」と語っている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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