観葉植物がタッチパネルに!? JDIの新センサー技術:上に置くだけで(2/2 ページ)
ジャパンディスプレイは、「Smart Sensing 2024」(2024年6月12〜14日/東京ビッグサイト)に出展し、金属以外のあらゆるものを「タッチパネル」にするセンサー技術「ZINNSIA(ジンシア)」や、さまざまな用途で使用した場合のデモも展示した。
観葉植物や木材をタッチパネル化するデモを展示
JDIは、ZINNSIAの活用例として、観葉植物をタッチパネル化するデモを展示した。ZINNSIAの上に置いた観葉植物の葉に触れると、触れた場所に応じてさまざまな音声が再生された。植物の葉に触れると、電位に揺れが生じる。ZINNSIAがその電位の揺れを検知し、あらかじめ設定しておいた対応する音声を再生する仕組みだ。
内田洋行と共同開発中のイラストインタフェースでは、子供向けの教材として、ボードに描かれたイラストを触ると、そのイラストに応じた音声が出力されるデモを展示した。トラのイラストを触ると「タイガー」という英語の音声が流れたり、トロンボーンの絵に描かれた「C」を触ると「ド」の音が流れるデモが流れたりした。
ボードに触れると、ZINNSIAがタッチの位置を検出し、モニターから対応する音声を出力する仕組みだ。1枚のZINNSIAで複数種類のボードに対応可能で、ボードを入れ替えれば、別の音声を再生することができる。
フォスター電機と共同開発中の曲面木材スピーカーのデモでは、タッチした場所によって異なる音楽や環境音を流せる様子を披露していた。また、曲面木材自体を振動させることで音を出力しているため、同技術を応用することで、デザイン性を意識して任意の場所に、自然な見た目でスピーカーを設置することができるようになるとしている。
存在検知の用途では、ブースの床の12箇所にZINNSIAを設置し、ヒトやモノが乗るとモニター上の該当箇所が赤く表示するデモを展示した。想定される実用例としては、玄関マットに設置することで、玄関マットを踏んだ際に照明を自動で点灯させることや、ベッドに寝ころんだ際に存在を検知し、電気を消灯するなどといったことが考えられる。
JDIのSプロジェクト準備課 プロジェクト責任者の吉田公二氏は、ZINNSIAについて「ZINNSIAという名前は、『絆』を花言葉に持つジニア(百日草)と『幸せ』という言葉を組み合わせたものだ。人々の生活に溶け込み、ヒトとモノの絆を深める存在になってほしいという思いが込められている」と語った。
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