ニュース
ザイン、次世代PCI Express向け光半導体事業に進出:VCSEL対応でDSPを不要に
ザインエレクトロニクスが、消費電力が小さく低遅延を実現した次世代PCI Express向け光半導体を開発し、データセンター市場に進出すると発表した。
他の方式に比べ消費電力は50%以上、遅延時間は約90%も削減
ザインエレクトロニクスは2024年6月、消費電力が小さく低遅延を実現した次世代PCI Express向け光半導体を開発し、データセンター市場に進出すると発表した。第1弾としてPCI Express 6.0に対応したマルチモードAOC(アクティブ光ケーブル)ソリューションを、第2弾ではPCI Express 7.0に対応したソリューションをそれぞれ開発し、市場に投入していく。
次世代PCI Expressの光伝送に向けては、シリコンフォトニクス技術を活用した方式や、DSPを活用したVCSELドライバー方式などが検討されている。ただ、これらの方式では使用する外部変調レーザーやDSPの消費電力が大きいことや、デジタル処理に伴う遅延が生じることなど、情報伝送の高速化において課題があった。
同社が提供する光半導体チップセットは、VCSEL(垂直共振器型面発光レーザー)ドライバー方式でありながら、DSPによるデジタル処理が不要となる。光通信モジュール内だけでなくエンドポイントのASICからもDSPを完全に削除できるという。
このため、他の方式に比べ消費電力は50%以上も削減でき、遅延時間も約90%削減できる見通し。こうした性能改善によって、データセンター内におけるデータ伝送時の電力削減とAI(人工知能)処理速度向上を可能にした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ザインら、毎秒20Gビットの高速情報伝送を実現
ザインエレクトロニクスと情報通信研究機構(NICT)および広島大学は、ミックスドシグナルベースバンド復調回路を開発、これを搭載した受信用半導体で、20Gビット/秒QPSK変調された電気信号を受信することに成功した。ミックスドシグナル技術を用いることで、ベースバンド復調回路の電力消費を大幅に削減できるという。 - 34本の信号配線を差動2対に集約するシリアルトランシーバー
ザインエレクトロニクスは、センサー信号や制御信号の配線を統合できるシリアルトランシーバーIC「THCS253/THCS254」の量産出荷を開始した。30本を超える信号ラインを、わずか2ペアの差動信号ラインに置き換えることができるため、システムの小型化や低コスト化につながる。 - ヒロセ電機とザイン、光高速絶縁伝送分野で協力
ヒロセ電機とザインエレクトロニクスは、光アクティブコネクター(AOC)の分野で協力し、少ない配線で長距離の光高速絶縁伝送を可能にするソリューションを提供していく。 - USB4のデータ転送距離を延ばすリドライバーIC
ザインエレクトロニクスは、USB4のデータ転送距離を延ばすことができる小型リドライバーIC「THCE20RD2U11」を開発、サンプル出荷を始めた。チップ面積は従来の類似製品に比べ約半分だという。 - i.MX 8Mファミリ向けの4K、PDAF対応カメラを製品化
ザインエレクトロニクスはこのほど、組み込みプロセッサ「i.MX 8Mファミリ」に対応した4Kカメラキット「THSCM101」を発売した。 - 車載カメラ4台からの動画像を1チップで受信
ザインエレクトロニクスは、最大4台のカメラで撮影されたフルHD、毎秒60フレームの動画像を、1チップで受信できる高速インタフェースV-by-One HSの新製品「THCV244A-QP」を開発し、量産を始めた。車載カメラや監視カメラなどの用途に向ける。