パワー半導体の熱、逃がします 高熱伝導性の絶縁インキ:JPCA Show 2024 太陽インキ製造(2/2 ページ)
太陽インキ製造は、「JPCA Show 2024」(2024年6月12〜14日/東京ビッグサイト)に出展し、パワー半導体向け高放熱絶縁材料の製品群を展示した。これらは、電子回路技術及び産業の進歩発展に顕著な製品・技術を表彰する「JPCA賞」を受賞したものだ。
高熱伝導性絶縁ドライフィルム「Zaristo 200」シリーズ
太陽インキ製造は、高い熱伝導性と絶縁破壊電圧を両立した高熱伝導性絶縁ドライフィルム「Zaristo 200」シリーズも紹介した。
Zaristo200には、熱伝導性に応じて「Standard grade Type1」「Standard grade Type2」「High grade Type1」の3種類がある。Standard grade Type1は熱伝導性が2.0W/m・K、絶縁破壊電圧5.0kV/0.1mm超で、ビルドアップ材料向けを想定している。
Standard grade Type2は熱伝導性が3.0W/m・Kで、絶縁破壊電圧が5.0kV/0.1mm超だ。High grade Type1は開発中の製品で、熱伝導性は4.0〜6.0W/m・K、絶縁破壊電圧は4.0kV/0.1mm超になる見込みだ。用途はいずれも、部品内蔵基板用の層間絶縁材や部品封止材など、基板内部に使用する絶縁材料としての活用を想定している。
厚さは、Standard grade Type1が20μ〜50μmで、Standard grade Type2/High grade Type1では70μ〜200μmで調整できる。また、剥離強度(接着ボンドの強度)は、いずれも3.0N/cmだ。Standard grade Type1/Standard grade Type2は既にサンプル提供を開始している。
5年連続でJPCA賞を受賞
太陽インキ製造は、パワー半導体向け高放熱/絶縁材料の製品群で、JPCA Show 2024の出展製品/技術の中から優れた製品/技術を表彰する「JPCA賞」を受賞した。今回で5年連続の受賞となる。
同社は受賞理由について「電子機器の小型/高性能化が求められる一方で、新たな課題として発熱への対応が求められている。今回展示した高放熱絶縁材料は、高い絶縁信頼性と熱伝導性を両立した点を評価されたと感じている」と語った。
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