国産のパワエレ高速回路シミュレーターに無償版が登場:モーター制御オプションを追加
スマートエナジー研究所は、「TECHNO-FRONTIER 2024」(2024年7月24〜26日、東京ビッグサイト)に出展し、パワーエレクトロニクス向け高速回路シミュレーター「Scideam(サイディーム)」の無償版を紹介した。
スマートエナジー研究所は、「TECHNO-FRONTIER 2024」(2024年7月24〜26日、東京ビッグサイト)に出展し、パワーエレクトロニクス向け高速回路シミュレーター「Scideam(サイディーム)」を紹介した。
Scideamは、電源開発やパワーエレクトロニクス開発に特化した国産の高速回路シミュレーターだ。高速性や収束性に優れていて、解析速度を落とさない独自のシミュレーションアルゴリズムを強みとしている。機能としては、電気/電子回路向けの波形解析や過渡解析、損失解析などに使用できる他、2024年秋ごろからはモーター制御向けのオプションも追加する。Scideamは主に、自動車メーカーや電源メーカーに使われていて、モーター制御のオプション追加も、顧客からの声を反映させたものだという。
同社はTECHNO-FRONTIER 2024の出展に合わせて、Scideamの一部機能を無償かつ無期限で利用できる「Scideam Free」を発表した。Scideam Freeは、基本的な回路モデリングや波形解析など、有償版で提供していた機能のごく一部を無償版として提供するもの。Scideamの本格導入前のお試し版としての活用を想定している。
担当者は、Scideam Freeの提供理由について「高速回路シミュレーターの良さは、試してもらって初めて伝わるものだ。Scideamをより多くの人に試してもらうためにScideam Freeの提供を決めた」と語った。
高速回路シミュレーターの分野では、北米地域やドイツなどの海外の企業が先行している。しかし、日本語対応している企業が少なく購入後のサポート利用が不便な他、問い合わせをした場合、本国への確認を挟むため、回答に時間を要する場合が少なくない。
一方、Scideamは国産ソリューションのため、運用開始後のサポートについても日本語で迅速な対応が可能だ。また、技術面の強みとしては、「30年間以上の歴史がある演算アルゴリズムを使用しているため、よほど複雑で難しい回路設計を除き、エラーが起きることは少ない」(同社担当者)と説明した。
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