ソニー半導体、24年度1Qは大幅増収増益「大判化にさらなる進展」:通期予想を上方修正(2/2 ページ)
ソニーグループのイメージング&センシングソリューション(I&SS)分野の2024年第1四半期業績は、売上高が前年同期比21%増の3535億円、営業利益が同188%増の366億円とそれぞれ大幅増となった。モバイル向けイメージセンサーの増収と為替の好影響が主な要因だ。
「競合他社」参入リスクへの見解
ソニーはAppleの「iPhone」向けイメージセンサーを独占的に供給していることで知られるが、最近、早ければ2026年にもSamsung Electronics(以下、Samsung)がiPhone向けイメージセンサーのサプライヤーとして加わる可能性があるなどと、一部で報じられている(なお、2024年9月にも発売が見込まれる新型iPhone向け供給の可能性についても以前一部で報じられたが、こちらは情報元のメディアが記事を削除しているほか、Samsung側も否定したことが伝えられている)
今回の決算説明会では、『北米大手顧客』向けで、中長期的な競合他社の参入リスクに関する見立てについての質問が出た。十時氏は、個別の顧客に関する話は避けると前置いた回答の中で「他社の参入リスクというのは、昨今始まった話ではない。競争環境の中に当社も競合もいて、それについては当社も常に分析していて、弱みは克服し技術で勝っていかなければいけないということだ。長期についてはなかなかコメントしづらいが、少なくともこの中期の期間内で他社の参入リスクが具体的に何かあるかと言われれば、その蓋然性は極めて低いと見ている」と語っていた。
グループ全体の通期予想も上方修正
2024年度第1四半期のグループ全体の連結業績をみると、売上高は金融分野で大幅減収となったものの、I&SS分野のほか音楽分野、ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野で大幅増収、エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野および映画分野でも増収となったことから、前年同期比2%増の3兆116億円で着地した。なお、前年同期の為替レートを適用した場合は約7%の減収となっているという。
営業利益も金融分野で大幅減益となったが、I&SS分野およびG&NS分野で大幅増益、音楽分野でも増益だったことから同10%増の2791億円となった。純利益は同6%増の2316億円だった。
グループ全体の2024年度通期予想についても、売上高は主にG&NS分野および音楽分野、ET&S分野での見通しの上方修正を踏まえ+3000億円、営業利益は音楽分野およびG&NS分野の見通しの上方修正を踏まえ+350億円、それぞれ上方修正した。また、純利益についても+550億円の上方修正を行った。
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