キオクシアら、3次元プロービング技術を開発:プロセッサとSSD間の伝送線路を評価
キオクシアとモーデックは、プロセッサとSSDを接続した伝送線路において、立体構造物であっても110GHzまでの高周波特性を直接評価できる「3次元プロービング技術」を開発した。この技術を用いるとデータセンター向けサーバなどに搭載するマザーボードの性能や品質改善が容易となる。
3次元プローブステーションと立体構造評価用のスルーを開発
キオクシアとモーデックは2024年9月、プロセッサとSSDを接続した伝送線路において、立体構造物であっても110GHzまでの高周波特性を直接評価できる「3次元プロービング技術」を開発したと発表した。この技術を用いるとデータセンター向けサーバなどに搭載するマザーボードの性能や品質改善が容易となる。
データセンターで用いられるSSDは、プロセッサを搭載したマザーボード上の高速インタフェースを介して、垂直に実装されるのが一般的である。このため、プロセッサとSSD間の伝送線路は立体構造となる。ところが、立体構造物の伝送線路についてこれまでは、高周波特性を直接評価できず、シミュレーションに頼っていた。
そこで今回、立体構造の被測定物にも適切にコンタクトできる「3次元プローブステーション」を開発した。この装置は、被測定物にコンタクトする「高周波プローブ」と高周波信号を周波数変換する「エクステンダ」が一体となって回転する仕組みである。また、高周波特性を正しく評価するために、立体構造物評価用として「スルーの標準器」を新たに開発した。そして、フレキシブル基板上に作成したスルーを垂直に折り曲げて固定した。
実験では、「3次元プローブステーション」と「立体構造評価用のスルー」を用い、2枚のプリント基板上の伝送線路をコネクターで垂直に接続した被測定物について、110GHzまでの高周波特性を評価することに成功した。
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