業界の大物が結集 半導体エコシステム構築に注力するインド:国内で設計のAIチップも(2/2 ページ)
インドとシンガポールの両首相は、インドの半導体エコシステムを共同で拡大/支援していくための協定に調印した。これはインドの半導体産業が急激に勢いを増している兆候だといえる。インドでは、国内の半導体エコシステム構築に向けた取り組みが活発化し、特にインドの半導体業界関係者が積極的に行動を起こしている。
インドで設計のAIチップも
インドのAI(人工知能)企業Ola Krutrimは2024年夏、フルスタックAI機能を提供するためのロードマップを発表した。このロードマップは基本モデルとクラウド、シリコンで構成されている。その中には3つのチップのほか、CPUやAIチップ、プラットフォーム、システム開発に向けたArm/Untether AIとの戦略的パートナーシップの締結なども含まれている。またOla Krutrimは、AIおよび汎用機能を備えたKrutrimクラウドを発表しているほか、インドの開発者コミュニティーをターゲットに、より低コストで製品を製造するための幅広い専用AIサービスも提供している。
同社によると、この半導体ロードマップは、「技術的主権を獲得し、海外のIP(Intellectual Property)に依存しない」というインドの願望を実現するためのものだという。同社のチップは、AI向けの「Bodhi」と、汎用コンピュータ向けの「Sarv」、エッジ向けの「Ojas」からなり、最初のチップは2026年に最先端ノードで製造する予定だとしている。同社の半導体開発部門担当エンジニアリングディレクターを務めるSambit Sahu氏は、米国EE Timesのインタビューの中で、「現在、大手ファブとの間で話し合いを進めているところだ」述べる。またOla Krutrimは、2028年に「Bodhi 2」の発表を予定しているという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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