「Adaptive-Sync」はディスプレイの差異化要因に:VESAが5年ぶりに国内で説明会(2/2 ページ)
VESA(Video Electronics Standards Association)は2024年10月21日、記者説明会を開催し、DisplayPort関連規格の最新情報を紹介した。
Adaptive-Syncの最新版、ディスプレイの差異化要因に
ヌヴォトンテクノロジージャパンで主任技師を務める高橋学志氏は、ディスプレイの可変リフレッシュレート性能に関する公開規格「Adaptive-Sync Display(以下、Adaptive-Sync)」について説明した。Adaptive-Syncは、コンテンツ(グラフィックス)のリフレッシュレートとディスプレイのリフレッシュレートを同期させる技術。「ディスプレイとGPUが交渉してリフレッシュレートを調整し、リフレッシュレートを確保する技術」と高橋氏は説明する。これにより、ゲーミングなどで映像の乱れ(スタッターやテアリング)をなくすことができる。
VESAは2024年1月に、Adaptive-Syncのディスプレイ適合性試験仕様(Adaptive-Sync Display CTS)を更新し、Adaptive-Sync Display CTS v1.1aを発表した。同バージョンでは、解像度を下げた際に最大リフレッシュレートで動作できるディスプレイ向けに、テスト手順とロゴサポートをアップデート。「2160p/144Hz」「1080p/280Hz」のように2種類のモードでAdaptive-Syncの認証を受けることが可能になった。「ディスプレイメーカーにとっては製品の差別化につながる重要なアップデート」だと高橋氏は説明した。最近発売されたディスプレイでは、LG Electronicsのゲーミングモニター「UltraGear OLED 32GS95UE」が、Adaptive-Sync Display CTS v1.1aの認証を取得した。
VESAは現在、AR/VR(拡張現実/仮想現実)のような新しい分野を含め、さまざまな分野に向けて規格を策定中だという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- VESA、最新の「DisplayPort 2.1」仕様を公開
VESA(ビデオエレクトロニクス規格協会)は、DisplayPortの最新バージョンになる「DisplayPort 2.1」の仕様を公開した。USB4上で、DisplayPortをより効率的にトンネリングするための機能などが新たに追加された。 - 帯域幅が約3倍に、8K対応の「DisplayPort2.0」
VESA(ビデオエレクトロニクス規格協会)は2019年11月15日、東京都内で記者説明会を開催した。コンプライアンス・プログラム・マネージャのJim Choate氏は、同年6月に発表したDisplayPortの最新バージョン「DisplayPort 2.0」(以下、DP 2.0)などについて説明した。 - DisplayPort検証モジュール、HBR3/DSCに対応
テレダイン・レクロイ・ジャパンは、980 DisplayPort(DP)1.4 USB-C/eDPビデオジェネレーター/アナライザーモジュールを発表した。USB Type-Cを備え、HBR3とDSCに対応した信号発生と解析を行うことができる。 - JDIの「eLAEP」中国工場建設、最終契約に至らず
ジャパンディスプレイは、中国の蕪湖経済技術開発区と戦略提携覚書(MOU)を結んでいた、次世代OLED「eLEAP」の大規模量産工場建設などのプロジェクトが最終契約締結に至らず、MOUも延長しないと発表した。 - ソニー、0.44型フルHD OLEDマイクロディスプレイを発売
ソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)は、極めて小さい画素サイズと高い輝度を両立させた0.44型フルHD(1920×1080画素)OLEDマイクロディスプレイ「ECX350F」を開発、2024年10月よりサンプル出荷を始める。AR(拡張現実)グラスなどの用途に向ける。