ルネサスとニデック、「8-in-1」EアクスルのPoCを開発:1個のマイコンで8機能を制御
ルネサス エレクトロニクスは、駆動モーターやギヤ(減速機)、インバーターなどを統合したEV(電気自動車)向けユニット「E-Axle(イーアクスル)」として、マイコン1個で8機能を制御できる「8-in-1」のPoC(概念実証)を、ニデックと共同で開発した。
EV向け駆動モーターやインバーター、DDコン、OBCなどを搭載
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2024年11月11日、駆動モーターやギヤ(減速機)、インバーターなどを統合したEV(電気自動車)向けユニット「E-Axle(イーアクスル)」として、マイコン1個で8機能を制御できる「8-in-1」のPoC(概念実証)を、ニデックと共同で開発したと発表した。両社は2023年6月、E-Axleの半導体ソリューションでの協業に合意したと発表していて、今回のPoCはその成果の一つである。
開発したPoCには、ニデック製のモーターやギヤに加え、ルネサス製で最大効率が99%以上という70〜100kW出力可能なインバーター、1.5kW出力のDC-DCコンバーター、6.6kW充電のOBC(オンボードバッテリーチャージャ)、配電ユニット(PDU)、バッテリーマネジメントシステム(BMS)、PTCヒーター(熱マネジメント)制御といった8つの機能が含まれている。このため、これらを1個のマイコンとパワーマネジメントIC(PMIC)だけで制御できる。
具体的には、ルネサス製の車載制御用32ビットマイコン「RH850/U2B」、マイコン用PMIC、絶縁ゲートドライバーIC「RAJ2930004AGM」、インバーター用IGBTモジュール、DC-DCコンバーターICとOBC用パワーデバイスなど、「X-in-1」を構成するために必要なデバイスを提供する。
これによって、顧客は部品点数を大幅に削減でき、車載システムの軽量化や低コスト化を実現できる。さらに、ソフトウェアを含めたシステム全体の提案やサポートをワンストップで提供していくことも可能となる。
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