豪州でガリウム生産を計画、双日らが米社と共同で:新たなサプライチェーンを構築
双日は、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と合弁で豪州に設立した会社を通じ、豪州でのガリウム生産について、米社の豪州法人と共同で調査する契約を結んだと発表した。重要鉱物の安定供給に向けて2026年の生産開始を目指す。
重要鉱物の安定供給へ、2026年の生産開始を目指す
双日は2025年8月、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と合弁で豪州に設立した会社を通じ、豪州でのガリウム生産について、米社の豪州法人と共同で調査する契約を結んだと発表した。重要鉱物の安定供給に向けて2026年の生産開始を目指す。
ガリウムは、LEDや太陽光発電セル、半導体材料など幅広い用途に用いられている。このため、日本を始め豪州や米国、欧州などは重要鉱物の1つに定めている。ところが、ガリウム生産量の大半を中国が占めており、新たなサプライチェーンの構築が急務となっている。
そこで今回は、ガリウムについて安定調達先を確保したいJOGMECと、アルミナ精製事業を展開する双日が、豪州でガリウム生産に向けた調査を共同で行うための合弁会社「Japan Australia Gallim Associates」を設立。この合弁会社を通じて、米国Alcoa傘下の豪州法人「Alcoa of Australia」と共同で、西豪州にあるアルミナ精錬所でのガリウム生産に関して、事業化調査と検証を行うことにした。
この調査結果に基づき、2025年末までに最終的な投資判断を行う。事業化を決めた場合は2026年にも生産を始める計画である。AlcoaはWagerup(ワガーアップ)とPinjarra(ピンジャラ)にアルミナ精錬所を有しており、どちらかの精錬所においてガリウムを分離・回収するための設備を共同開発し導入する。
これらの事業を通じて双日とJOGMEC、Alcoaは、ガリウムの新たなサプライチェーンを構築し、長期かつ安定した供給体制を確立していく。なお双日は、ここで生産されたガリウムについて、日本市場を中心に需要国へ販売していくことにしている。
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