Samsungの半導体四半期業績、前期比で増収も利益率は1.4%に激減:福田昭のストレージ通信(288)(2/2 ページ)
本稿では、Samsung Electronicsの2025年度第2四半期(2025年4月〜6月期)の四半期業績を紹介する。半導体部門の営業利益が大きく低下した。
HBM3E、DDR5、サーバSSDが好調
Samsungは半導体事業の概況を「メモリ」と「システムLSI/ファウンドリ」に分けて説明した。「メモリ」の主力製品はDRAMとNANDフラッシュメモリ(およびSSD)である。DRAM製品はサーバ分野の積極的な要求により、HBM3E品の販売が伸びるとともに大容量DDR5品の割合が高まった。
NAND製品では、顧客であるデータセンター分野で投資が延期されていたが迅速に再開されつつある。この結果、サーバSSDの販売が拡大してNANDフラッシュの在庫が減少した。
メモリ販売額は増加したものの、在庫の一時的な評価損によって利益が圧縮された。
既存ノード生産ラインの稼働率低迷が続くファウンドリ事業
「システムLSI/ファウンドリ」は、「システムLSI」と「ファウンドリ」に分けていた。システムLSI事業は、GAA(Gate All-Around)トランジスタ技術によるフラッグシップSoC(System on Chip)の出荷によって売り上げが堅調だった。しかし開発コストが増加したため、利益はわずかな改善にとどまった。
ファウンドリ事業は売り上げが伸びたものの、損益は弱い。在庫の評価調整(評価損)と、中国向け先端AIチップに対する米国の輸出規制、既存の技術ノード(mature node)を使う生産ラインの稼働率低下が長引いていること、などが理由だ。
2025年下半期(2025年7月〜12月期)の半導体事業見通しもSamsungは述べた。メモリ事業では、サーバ向けHBMとLPDDR5Xの容量拡大、DDR5とGDDR4(24Gbit品)のAIサーバ向け販売増加、第8世代V-NANDフラッシュへの量産移行による大容量・高性能SSDの増産などを見込む。
システムLSI事業では、2026年のスマートフォン旗艦モデルに向けたExynosプロセッサの改良、ナノプリズム(Nanoprism)構造イメージセンサーの販売拡大を予定する。ファウンドリ事業では、2nm世代のGAAトランジスタ技術によるモバイルSoCの量産立ち上げ、主要顧客向けの販売拡大による生産ライン稼働率の向上をもくろむ。
(次回に続く)
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