ニュース
ロームのSiC搭載インバーター部品が量産開始、中国大手の新型EVに:650A、800V以上に対応(2/2 ページ)
ロームの第4世代炭化ケイ素(SiC) MOSFETベアチップを搭載した、ドイツ自動車部品大手Schaefflerの新型インバーターサブモジュールの量産が始まった。中国の大手自動車メーカーの新型電気自動車(EV)に搭載されるという。
モジュール、ベアチップ...さまざまな形態で供給する体制を強化
ロームは2024年6月に、xEV(電動車)用のトラクションインバーター向けで、2in1仕様のモールドタイプSiCパワーモジュール「TRCDRIVE pack」を発表。「車載SiCの主戦場」である同用途でのシェア拡大に向けた取り組みを本格化している。
ロームは同時に、モジュールでの提供に加えてベアチップやディスクリートなど、さまざまな形態でSiCパワーデバイスを供給できる体制も強化。2025年6月にも、トヨタ自動車などが開発した中国市場向け新型クロスオーバーBEV「bZ5」のトラクションインバーターにロームの第4世代SiC MOSFETベアチップが採用されたことを発表していた。
2025年5月にドイツで開催されたパワーエレクトロニクスの国際展示会「PCIM 2025」でも、さまざまな採用事例(Schaefflerのトラクションインバーターも公開していた)を紹介するとともに、顧客の声を受けたモジュールの改良およびその新モデルの採用状況などを明かしていた。
ロームは次世代デバイスの開発も強化していて、2025年には第5世代となるSiC MOSFETの生産ラインを構築するとともに、第6世代およびそれ以降の製品についても市場投入を前倒しする方針も示している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
東芝D&S、中SICCとSiCパワー半導体用ウエハーで連携
東芝デバイス&ストレージは2025年8月22日、中国の炭化ケイ素(SiC)ウエハーメーカーSICCとSiCパワー半導体ウエハーに関するビジネス上の連携に向けた基本合意を発表した。SiCパワー半導体の特性向上や品質改善および、安定的なウエハーの供給拡大に向けた連携を実施する。「GaNのコストは5年以内にSi並みに」 ロームの勝ち筋は
「窒化ガリウム(GaN)は、遅くとも5年以内にシリコン(Si)のコストに追い付くだろう」――。ロームは、GaNパワー半導体の大きな課題の1つとされるコスト面について、こうした見解を示す。民生向け中心からAIサーバや車載などへの展開が加速し、本格化してきたGaNパワー半導体市場。ロームは、GaNのさらなる普及に注力しながら、独自の強みを生かし市場での存在感を高めていく方針だ。TSMCがGaN事業撤退へ、ロームは「さまざまな可能性を協議」
TSMCが2027年7月までにGaNファウンドリー事業から撤退すると決定した。同社と協業するロームは「協業体制の維持、深化に向けて、引き続き互いの強みを融合させることで市場/顧客ニーズに適切に対応していく」と述べている。トヨタの中国向け新型BEV、ローム製SiC MOSFETを搭載
ロームは、トヨタ自動車などが開発した中国市場向け新型クロスオーバーBEV「bZ5」に、第4世代SiC MOSFETを搭載したパワーモジュールが採用されたと発表した。実装面積を半減、ロームの車載充電器向け新SiCモジュール
ロームが、電動車(xEV)用オンボードチャージャー(OBC)向けに新たなSiC(炭化ケイ素)モジュールを開発した。高放熱パッケージおよび低オン抵抗の第4世代SiC MOSFETによって一般品DIPモジュール比で1.4倍以上と「業界トップクラス」(同社)の電力密度を実現し、実装面積の大幅な削減を可能とした。ロームがマツダと車載GaNパワー半導体搭載品を共同開発
ロームとマツダが、GaNパワー半導体を用いた自動車部品の共同開発を開始した。2025年度中にコンセプトの具現化とデモ機によるトライアルを実施し、2027年度の実用化を目指す。