チップレット集積の歩留まり向上へ 高速なオーバーレイ測定を実現:スループットは従来比で15倍
EV Group(EVG)は、300mmウエハー上で100%のダイオーバーレイ測定を、従来に比べ最大15倍というスループットで行えるダイツーウエハー(D2W)オーバーレイ計測プラットフォーム「EVG40 D2W」を発表した。
ウエハー全体で最大2800カ所のポイントをわずか4分で測定
EV Group(EVG)は2025年9月、300mmウエハー上で100%のダイオーバーレイ測定を、従来に比べ最大15倍というスループットで行えるダイツーウエハー(D2W)オーバーレイ計測プラットフォーム「EVG40 D2W」を発表した。
D2W接合は、機能やサイズ、材質が異なる複数のダイやチップレットを、単一のデバイスやパッケージに集積するための重要な技術の1つである。特に、3Dパッケージングなどでは、搭載する製品の相互接続ピッチが微細化している。こうした状況下で歩留まりの低下を防ぐには、ダイボンディングの位置合わせやオーバーレイプロセスも、技術革新に応じてより高い精度が求められ、チェックすべき範囲も広くなってきた。
そこでEVGは、D2W接合のオーバーレイ測定を、高精度かつ高速に行える専用機としてEVG40 D2Wを新たに開発した。ハードウェアとソフトウェアの機能を強化したことで、300mmウエハー上にある全てのダイに対し、高精度のオーバーレイ測定を実現したという。
しかも、ダイとベースウエハーの両方にあるアライメントターゲットを、1回の測定で2層同時に計測することで、スループットを向上させた。ステージも新たに設計し高速かつ高精度の測定を可能にした。光源も安定した照度レベルを維持できるように改良し、高い精度を実現した。
これにより、ウエハー全体で最大2800カ所というオーバーレイ測定ポイントを、わずか4分という短い時間で測定し、全てのダイについてその位置情報を取得できた。測定結果を製造工場のホストシステムにフィードバックし、解析したデータを製造工程に反映していけば、歩留まりの向上に結び付けることができるという。
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