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AI活用で半導体用研磨フィルムの外観検査を自働化:特定の色系統で良否を100%分類
九州工業大学とMipoxは、AI技術を用い半導体向け研磨フィルムの外観検査を高度に自動化するための実証実験を始めた。
作業者による検査精度のばらつきや作業負荷を軽減へ
九州工業大学とMipoxは2025年9月、AI技術を用い半導体向け研磨フィルムの外観検査を高度に自動化するための実証実験を始めたと発表した。研磨フィルムの「品質保証に対する信頼性向上」や「検査工程の効率化」が可能になる。
研磨フィルムは、シリコンウエハーや光学部品などを製造する工程で用いられる。近年は半導体デバイスの高集積化によって、研磨フィルムもより高い品質が求められるようになった。ただ、これまでの外観検査は作業者が目視で行っていた。このため、検査精度にばらつきが生じたり、作業負荷が増大したりするなど課題もあった。
そこで今回は、Mipoxが「良品」と判定した画像データを用い、九州工業大学が深層学習によってAIモデルを訓練した。そして、AIモデルの出力である「異常度マップ」を基に画像処理を行い、異常箇所を可視化した。
AIモデルの出力に対し後処理を行ったことで、異常検知性能が向上したという。例えば、ブルー系やグレー系など特定の研磨フィルムにおいては、「良品」と「不良品」を100%分類することに成功した。ただ、白系の研磨フィルムにおける「色ムラ」の検出精度については今後、改善していく必要があるという。
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