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TSMCが先端ノードのウエハー価格を大幅値上げへNVIDIAやApple、Qualcommの反応は?(3/3 ページ)

半導体製造プロセスにおいて、次世代ノードへの移行は「価格高騰」を意味するようになりつつある。TSMCは、5nm世代未満の先端ノードの価格を2026年から5〜10%上げる予定だという。顧客各社はどのような反応を示しているのだろうか。

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顧客の反応は

 TSMCの価格戦略はテクノロジー環境を再構築し、同社の顧客各社は市場ポジションに基づいた対応を余儀なくされている。

 高利益率のAIアクセラレーターで市場を席巻するNVIDIAは、今回の値上げを公に支持している。CEOのJensen Huang氏は、「現行価格には同社の価値が十分に反映されていない」と主張し、TSMCのサービス料金の引き上げを全面的に支持している。

 TSMCの最大の顧客であるAppleは、ウエハーコストの高騰と地政学的関税という複雑な課題に直面している。Appleは「サプライヤーとの協議についてはコメントを控えるが、最先端のプロセス技術へのアクセスを確保することは、当社の製品ロードマップにとって最優先事項だ」と述べている。最大の顧客であるAppleは優遇措置を受けており、他社よりも有利な条件を確保できる可能性は高い。

 一方、競争の激しいAndroidスマートフォンエコシステムの主要プレイヤーであるQualcommとMediaTekは、利益率のプレッシャーに直面している。TSMCの「N3P」プロセスを採用した両社の主力チップのコストが大幅に上昇しており、MediaTekのチップは24%、Qualcommのチップは16%のコスト上昇が見込まれている。

 QualcommのCEO、Cristiano Amon氏は、事業多角化に意欲をみせ、「Intelを選択肢の一つとしたい」としながらも、モバイルチップにおいてはIntelのファウンドリー技術は「現時点では選択肢ではない」とも公言している。TSMCに代わる信頼できる高歩留まりの代替手段が存在しないことが、同社の優位性を強固なものにしている。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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