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住友化学、台湾の半導体用プロセスケミカル企業を買収:半導体材料事業に経営資源を投入
住友化学は、台湾の半導体用プロセスケミカル企業「Asia Union Erectronic Chemical Corporation(AUECC)」の全株式を取得することで合意した。関係当局の承認などの必要手続きを経て、買収が完了する。
30年度には24年度比で約2倍の売上高を目指す
住友化学は2025年11月、台湾の半導体用プロセスケミカル企業「Asia Union Erectronic Chemical Corporation(AUECC)」の全株式を取得することで合意したと発表した。関係当局の承認などの必要手続きを経て、買収が完了する。
半導体デバイスの製造プロセスにおいて、洗浄や乾燥といった工程で異物除去などに高純度のプロセスケミカルが用いられている。住友化学は、半導体用プロセスケミカルの需要拡大を見据え、2022年に米国テキサス州に製造拠点を設け、供給網の整備と製造能力の拡大を進めてきた。一方、1998年に設立されたAUECCも、台湾高雄市と米国ネバダ州に製造拠点を有し、半導体用プロセスケミカル製品の開発、製造、販売を行ってきた。
住友化学はAUECCを買収することで、半導体用プロセスケミカルのグローバルな供給体制を拡充する。住友化学の半導体用プロセスケミカル事業にとって、台湾では初の製造拠点となり、米国ではテキサス州に次ぐ2つ目の製造拠点となる。
住友化学グループは、半導体材料事業を成長ドライバーの1つに位置付けている。今回のAUECC買収によって半導体用プロセスケミカル事業で確固たる地位を確保していく。そして2030年度には、2024年度に比べ約2倍の売上高を目指すという。半導体材料の新規領域開発にも注力していく。
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