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IBMが語る量子技術戦略 「1年以内に量子優位性を実現する」Googleと接戦のさなか(2/2 ページ)

IBMの量子技術導入担当バイスプレジデントであるScott Crowder氏は、米国EE Timesの独占インタビューに応じ、IBMの量子技術の戦略を語った。同氏は「IBMは、量子優位性を巡る争いにおいて今後数カ月のうちに勝利を獲得しようと、Googleとの間で互角の戦いを繰り広げている」と述べた。

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IBMのマイルストーン 量子優位性に関する最初の実証は1年以内に

 IBMは、2028年までには誤り訂正機能を備えたフォールトトラレント量子コンピューティングを構築/実証し、2029年には関連する量子コンピュータ「Starling」を顧客向けにリリースする予定だとしている。また、それまでに、開発コードネーム「birds」と称するマイルストーンをいくつか達成する計画だという。

 同社は2025年中に、長距離接続を備えたパッケージチップ「Loon」を初めて実証する予定で、これにより量子メモリの構築やコーディングソフトウェアのテストが可能になる見込みだ。

 IBMが2025年11月に発表した量子プロセッサ「Nighthawk」は、正方格子を採用していることから、次近接がさらに増加し、前世代よりも演算量を30%削減できる可能性がある。

 Crowder氏は「これは、短期的に実証可能な量子優位性のマイルストーン達成において、非常に重要だといえる。フォールトトラレントが実現するよりも先に、5000演算/1万演算/1万5000演算を、より効率的に利用できるようになるだろう。IBMの短期的なロードマップにおける次世代プロセッサとして、今後12カ月以内に、その量子優位性に関する最初の実証が可能になる」と述べている。

 同氏は、量子コンピュータStarlingの実現に向けた一連のステップについて説明している。Starlingは、IBMがニューヨーク州ポキプシーで構築する予定で、200論理量子ビットを備え、1億回超の論理演算を実行できるという。

 「実際の命令を量子メモリに投入するための論理演算装置が必要だ。また、汎用ゲートセットを構成するためには、非クリフォードゲートを作成する「マジックステートファクトリー」と呼ばれるものも必要だ。それをモジュール方式で構築するには、おそらくどのようなシステムでも、パッケージを相互に接続し、そのパッケージ全体でエンタングルメントを確保するためのアダプターが必要になる」(Crowder氏)

量子システムをグローバル展開

 IBMの量子関連顧客には、推進化学のLockheedや、防食/劣化抑制化学のBoeing、生命化学シミュレーションのCleveland Clinicのほか、さまざまな化学関連事項について検討している米国エネルギー省などが含まれる。

 IBMのネットワークには100超のグループが参加していて、企業や学術研究機関の顧客、商業パートナーなどが含まれる。

 IBMは、同社の共有クラウドサービスの一部であるデータセンターのIBM製システムの他にも、7台の量子システムを外部に展開している。同社の量子システムは、日本や韓国、スペイン、米国の他、カナダのケベック州ブロモンにあるIBM工場の近郊にも導入されている。

 Crowder氏は「われわれは、他社のデータセンターへのシステム導入方法をよく知っている。ハードウェアのリフレッシュは2年ごとに行う。現在のところ、このモデルはIBMが保有/運用している場合の方がうまく機能しているが、もし顧客が将来的に、サービスではなくハードウェアとソフトウェアという形で購入したいということになれば、それに対応するつもりだ。今は単に、われわれが行っている方法があらゆる点で容易なために採用しているのだ」と述べる。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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