シリコンフォトニクスと先進パッケージの統合が描く未来:福田昭のデバイス通信(516) TSMCが解説する最新のパッケージング技術(13)(2/2 ページ)
「IEDM 2025」におけるTSMCの講演内容を紹介するシリーズ。今回からは、次世代の先進パッケージ技術に関する内容を解説する。
先進パッケージの内部にシリコンフォトニクスを埋め込む
PICとEIC、光ファイバ結合器で構成したモジュールをTSMCは「OE(Optical Engine)」と呼んでいる。OEの実装形態はいくつか存在する。最も簡素なのは、ボード(プリント回路基板)にOEを搭載することだ。これだけで銅ケーブル(Cu wire cable)接続に比べ、1ビット当たりの転送に必要なエネルギーを約3分の1(10pJ/ビット)に減らせる。
パッケージ基板に高速スイッチICと複数のOEを混載したのが、進化形態である。1ビット当たりの転送エネルギーは5pJ/ビットと進化前の半分に減り、遅延時間(レイテンシ)は進化前の10分の1と大幅に短くなる。
COUPE(クーペ)をベースとした光エンジン(OE)の実装形態と転送エネルギー、遅延時間(レイテンシ)の比較。左端は光エンジンを使わない、従来の銅線接続[クリックで拡大] 出所:TSMC(IEDM 2025のショートコース(番号SC1-5)で公表された講演スライドから)
さらに進化させた形態では、先進パッケージ技術の中間基板(インターポーザ)にOEを混載する。大規模プロセッサ(XPU)とOEをインターポーザ経由で接続することにより、転送エネルギーと遅延時間(レイテンシ)がさらに減る、あるいは短くなる。ビット当たりの転送エネルギーは2pJ/ビット、レイテンシは進化前(ボードにOEを搭載)の20分の1になるとする。
光変調の高速化、コパッケージ化、FAU増強
光エンジン(OE)技術、パッケージング技術、FAU技術の改良により、シリコンフォトニクスが扱う帯域幅は世代ごとに倍増してきた。具体的には100Gビット/秒の世代、次が200Gビット/秒の世代、その次が400Gビット/秒の世代へと進化した。この進化に直接関わるのは光エンジン技術、具体的には光変調技術の高速化と波長分割による多チャネル化だ。
光変調器にはマッハツェンダー変調器(MZM:Mach-Zender Modulator)やマイクロリング変調器(MRM:Micro Ring Resonator Modulator)などが使われる。波長分割による多チャンネル化には、波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)方式が使われる。WDMには波長間隔の広い粗密度WDM(CWDM:Coarse WDM)と波長間隔の狭い高密度WDM)(DWDM:Dense WDM)がある。
シリコンフォトニクス技術のロードマップ。縦軸は要素技術(光エンジン(OE)、パッケージング、FAUのファイバ数)とデータ転送速度(矢印のイメージ)、横軸は時間[クリックで拡大] 出所:TSMC(IEDM 2025のショートコース(番号SC1-5)で公表された講演スライドから)
パッケージング技術とFAU技術は、光変調技術の高速化に応じて改良される。パッケージング技術の改良については既に述べた。FAU技術ではユニットのファイバ数を8から16、32、64と倍増させることで帯域幅を高める。
(次回に続く)
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