Huaweiが「ムーアの法則」に代わる新法則 EUVなしで1.4nm実現へ:「タウスケーリング」を発表(2/2 ページ)
Huaweiが独自のスケーリング則「τ(タウ)スケーリング」を発表した。極端紫外線(EUV)露光技術における、米国の対中輸出規制に対し、中国がどのような取り組みを行ってきたのか、それが分かる発表となった。
トランジスタの進化の枠組みを変える「タウスケーリング」
LogicFoldingのような最先端の3D積層技術は、業界全体のロードマップ上に存在しているが、Huaweiは、それを前倒しするために開発を加速させている。中国以外の半導体メーカーは、依然としてEUVリソグラフィを用いたプロセスノードの微細化に依存できるため、少なくとも今はまだそのような必要に迫られていない。比較すると、AMDの「V-cache」やIntelの「Foveros」のような最先端の商業プロジェクトでは現在、ハイブリッドボンディングピッチは8〜10μmの範囲内にある。
最先端の3D積層は、過去数十年間にわたり業界全体で開発が進められ、その開発ロードマップも十分に理解されている。しかし、商用化を実現するには、再現性と信頼性をもって適正なコストポイントで量産を行ったり、ツールを開発したりするための投資が必要となる。He氏の基調講演から分かるのは、このような分野の中には、他の分野よりも先進的な部分があり(同氏は「未来の性能向上に向けてわれわれの取り組みに参加してくれる、手法/ツール関連のパートナー/専門家を心から歓迎する」と述べている)、それでもHuaweiは、今のところ同分野において、確実に競合他社のはるか先を進んでいるように見えるということだ。
He氏は、Her’s Lawの一環として、業界の進化の枠組みを変える「τ(タウ)スケーリング」を提唱している。簡単に言うとτスケーリングとは、技術進展とトランジスタ密度とを関連付けないよう、問題を言い換えるということだ(といってもHuaweiは、密度における優位性を主張しているが)。その代わりに、計算やメモリアクセス、システム性能の高速化といったどのような種類の進化も、それを達成した方法に関係なく、技術進展と見なすようにする。これは、AI時代においてアクセラレーテッドコンピューティングやドメイン特化型のアーキテクチャ、数多くのシステムレベルのスケールアップ/スケールアウト技術などへと向かう、より高いレベルの業界動向にも適合しているといえる。
Huaweiが開発した基盤となるハイブリッドボンディング技術は確かに目覚ましいものだが、業界の他の分野では異なるアプローチを優先していて、微細化と並行して独自の3D積層技術を開発していく見込みだ。従って、Huaweiの発表を「中国が追い付いた」と短絡的に捉えるべきではないだろう。シリコンバレーのリードは縮まったが、それは一時的なものにすぎないかもしれない。むしろ、この発表は、EUVの有無にかかわらず、中国の半導体エコシステムを単一の技術的軌道に集中させ、その加速を図ることを意図したものであることは明らかだ。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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