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光反応で有機半導体の作り分けに成功、大阪公立大軽くて柔らかい有機半導体開発へ

大阪公立大学は、光の照射条件を変えることで、骨格が異なる有機半導体を作り分けることに成功した。折り曲げられるディスプレイやウェアラブル端末などに適応可能な、軽くて柔らかい有機半導体の実現を目指す。

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屈曲型b-DNTに比べ直線型l-DNTの移動度は約5倍に

 大阪公立大学大学院工学研究科の上永誠人氏(博士前期課程2年)、大垣拓也特任助教、松井康哲准教授、池田浩教授らによる研究グループは2026年7月、光の照射条件を変えることで、骨格が異なる有機半導体を作り分けることに成功したと発表した。折り曲げられるディスプレイやウェアラブル端末などに適応可能な、軽くて柔らかい有機半導体の実現を目指す。

 研究グループはこれまで、光を照射して分子の骨格を組み上げる光反応を用い、さまざまな有機半導体を開発してきた。機械学習を活用した分子設計において、硫黄と窒素の間に働く分子同士の引力が、分子を密に積み重ねるために有効であることも見い出していた。

 今回の研究では、硫黄と窒素を含むチアゾールという骨格を組み込んだ、新たな有機半導体の開発に取り組んだ。具体的には、あらかじめ合成した鎖状の原料分子に対し、波長365nmの紫外光を照射。これにより、分子内の炭素同士が新たに結合して環をつくる光反応が進行し、「屈曲型b-DNT」と「直線型l-DNT」が約8対2の比率で得られたという。

光反応で有機半導体を作り分けるイメージ[クリックで拡大] 出所:大阪公立大学
光反応で有機半導体を作り分けるイメージ[クリックで拡大] 出所:大阪公立大学

 また、光エネルギーを受け取り原料分子に受け渡す増感剤を加えて波長400nmの可視光を照射した。そうしたところ、屈曲型b-DNTのみを合成することに成功した。つまり、光照射の仕方によって、生成物を作り分けられることを実証した。この仕組みを調べるため、レーザーフラッシュフォトリシスという方法で反応中間体を直接観測し、理論計算と組み合わせて反応メカニズムを解明した。

 さらに、得られた2種類の分子について結晶構造をX線で解析した。これにより、どちらも分子が少しずれた状態で積み重なっており、硫黄と硫黄、硫黄と窒素間の引力が密に結び付けていることが分かった。特に、直線型l-DNTでは分子の重なりが大きく、理論計算によれば、正孔の移動度は4.0cm2V-1s-1となり、屈曲型b-DNTの0.86cm2V-1s-1に比べ約5倍になることが分かった。

b-DNTおよびl-DNTの結晶構造[クリックで拡大] 出所:大阪公立大学
b-DNTおよびl-DNTの結晶構造[クリックで拡大] 出所:大阪公立大学

 今後は、分子へ側鎖(アルキル鎖)を導入するとともに、結晶中の分子の並び方を調整するなどして、有機電界効果トランジスタへの応用を目指すという。

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