車載用静電タッチパネル、全面透明タイプを拡充:デザイン性と耐久性を向上
日本航空電子工業は、車載仕様に適合した全面透明タイプの静電容量式ガラスセンサーを開発し、販売を始めた。デザインの自由度が高まり、耐久性も向上させている。
成膜回数の削減で、コストダウンを実現
日本航空電子工業は2016年9月、車載仕様に適合した全面透明タイプの静電容量式ガラスセンサーを開発し、販売を始めた。デザインの自由度を高めることができ、独自のセンサー構造により耐久性も向上させた。
同社はこれまでも、車載用途向けに静電容量方式のタッチパネル「TC230」シリーズを供給してきた。今回は価格の低減を図るとともに、デザインの自由度を向上させるため全面透明タイプを新たに開発し、TC230シリーズとして製品展開を図ることにした。
タッチパネル外周部には、アルミニウムの上下をモリブデンで挟み込んだ積層構造の金属配線(MAM)を行うのが一般的である。新製品は、この金属配線部分を透明電極とすることで全面透明にしたタッチパネル(MAMレスガラスセンサー)である。
MAMレスガラスセンサーは、手袋を装着しての操作や防水機能など、車載用途で要求される仕様に加え、MAMレス構造にしたことで、従来品に比べて耐久性を向上させることができたという。半面、MAMレス構造にすると「センサー電極のインピーダンスが上昇し感度が低下する」といわれている。これに対して新製品は、独自のセンサー構造を採用することで、この課題を解消している。また、従来のガラスセンサーに比べて、成膜回数を削減したことでコストダウンを図ることができるという。
MAMレスガラスセンサーは、標準品として7インチ、8インチ、10インチの3サイズを用意している。サイズは顧客のカスタム要求にも対応していく予定である。また、動作検証済みのタッチパネル駆動用ICも用意されている。組み合わせて用いるとモジュール開発の期間短縮も可能となる。
新製品は、カーナビゲーションシステムやカーオーディオシステムなどの用途に向ける。
なお、日本航空電子工業では2016年10月4〜7日に千葉市の幕張メッセで開催される展示会「CEATEC JAPAN 2016」の同社ブースで、MAMレスガラスセンサーの展示を実施する。
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