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現れ始めた抵抗勢力、社内改革を阻む壁“異端児エンジニア”が仕掛けた社内改革、執念の180日(12)(1/3 ページ)

本格的にスタートした改革プロジェクトだが、須藤たちが予想していた通り、やはり一筋縄ではいかないようだ。プロジェクトが進むにつれて、あからさまに阻もうとする“抵抗分子”も現れ始めたのである。

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「“異端児エンジニア”が仕掛けた社内改革、執念の180日」バックナンバー

これまでのお話
映像機器関連の開発、販売を手掛ける湘南エレクトロニクス(湘エレ)。ある朝、同社が社運をかけて開発した最新のデジタルビデオカメラについて顧客から1本のクレームが入る。そのクレームが引き金となって経営刷新計画が始まり、その一環として450人が希望退職した。湘エレの中堅エンジニア須藤は、会社を何とか変えようと、1人立ち上がる。そして、自分と同じ志を持っていると思われる“仲間”を集め、さらに、東京コンサルティング(Tコンサル)の力を借りながら、自社再建に向けてスタートを切ったのだった。



社員から白い目で見られる――プロジェクトメンバーの苦悩

 湘南エレクトロニクス(以下、湘エレ)の経営刷新計画の1つとしてスタートした改革プロジェクトが本格的に動き出した。当初は現場からの反発もあったが、少しずつ、プロジェクトを応援する若手も増えてきて、須藤たちは素直に喜んだ。ただ、欲を言えば、「応援するだけではなく、変革の渦の中に自ら飛び込み、会社を良くしていくという気概を持つ社員」をもっと味方に付けたいという思いもあった。

 改革プロジェクトに否定的な社員が少なくないことは、須藤だけでなく、プロジェクトのメンバーは皆、肌で感じている。先日、プロジェクトメンバーのみでミーティングを行った時のことだ。普段は口数が少ない製造部の楢崎が口火を切った。

楢崎:「プロジェクトにメンバーとしてかかわっているというだけで、職場の同僚や上司を含めて、周囲から白い目で見られていると感じます」

佐伯:「具体的にはどういう時に、そう感じるんだい?」

楢崎:「“改革プロジェクトなどやっても意味あるのか? 大勢を辞めさすような会社だぞ!”と面と向かって言われる時でしょうか……。そんなことが少なくないんです」

神崎:「何それ、ひどい……」

及川:「うち(システム課)は、藤田課長が無関心なせいか何も言わないですけど、内心ではどう思っているやら」

末田:「俺なんか、上司が上司(山口課長)じゃん。須藤のところの森田課長もそうだろうけど、今日のこのミーティングですらやっている暇があるなら、受注の1件でも取ってこいって毎日言われて、頭くるよ」

荒木:「みんなにもっと理解してもらうには、それなりの成果を出していかなきゃならないけど、成果を出すためにはみんなの協力が欠かせないからなあ……。なかなか難しいもんだね」

須藤:「俺らは、会社を良くしようと思ってやっているのに、なんでそんなことを言われなきゃならないんだ」

佐伯:「まだまだプロジェクトの活動の様子を伺っている人もいるだろうし、プロジェクトよりも仕事を優先させろと言う上司も多いからだろうね」

大森:「須藤さん、先は長いってことですよ。地道に頑張りましょ!」

須藤:「そうだよな――それにしても、エバ機の不正の解明はどうなってるんだろう。日比野社長から製造部長へ調査依頼をしてからだいぶたつよな」

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