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低電圧動作の5GHz帯受信回路、東芝が開発「IEEE 802.11ax」向け

東芝デバイス&ストレージは、次世代無線LAN「IEEE 802.11ax」向けに、0.8Vという低電圧動作を実現した5GHz帯の受信回路を開発した。

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0.8Vでの動作を可能にした3つの新技術

 東芝デバイス&ストレージは2017年9月、次世代無線LAN「IEEE 802.11ax」向けに、0.8Vという低電圧動作を実現した5GHz帯の受信回路を開発したと発表した。

 同社は今回、低電圧動作を可能にするため、3つの回路技術を新たに開発した。その1つがひずみ特性を改善した「可変ひずみRFアンプ」である。高いひずみ耐性を持つ回路と内部電圧を調整する回路の出力を混ぜ合わせることによって、内部電圧を変化させなくても、ひずみ特性を改善することができたという。


可変ひずみRFアンプの回路構成 出典:東芝デバイス&ストレージ

 2つ目が雑音を低減した「周波数変換器」である。これまでは、スイッチ性能を補助するために追加した電流源回路が雑音源となり、信号精度を悪化させていたという。開発した周波数変換器は、電流源回路をRF信号領域に移動させたことにより、雑音が信号に影響しない周波数となり、出力信号の劣化を抑えている。


低雑音周波数変換器の回路構成 出典:東芝デバイス&ストレージ

 3つ目は、「電流加算型オペアンプ」である。変換された低周波信号をデジタル信号に変換できる振幅レベルまで増幅するためにオペアンプを用いる。今回は電流をある倍率でコピーする「高速差動カレントミラー方式」を採用した。この結果、出力部分の増幅器に用いる電流源が不要となり、回路動作が可能な電圧範囲を拡大することができたという。


電流加算型オペアンプの回路構成 出典:東芝デバイス&ストレージ

 これらの新技術を用いて試作した5GHz帯の受信回路は、先端の半導体プロセスを用いて製造することが可能となった。試作した受信回路は、0.8Vの電源電圧で次世代無線LANに必要な受信特性を実現している。


試作した受信回路のチップ写真 出典:東芝デバイス&ストレージ

 今回の研究成果は、ベルギーで開催された半導体回路国際会議「ESSCIRC 2017」において、その詳細を発表した。

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