顔の表情や生体情報から、感情や眠気を推定:体調が非接触で分かる
パナソニックは、人間の表情や生体情報から、感情や体調を瞬時に推定できる技術などを「CEATEC JAPAN 2017」で紹介した。
「喜び」「いらいら」「ストレス」なども検知
パナソニックは、「CEATEC JAPAN 2017」(2017年10月3〜6日、幕張メッセ)で、人間の表情や生体情報から、感情や体調を瞬時に推定できる技術などを展示、デモを交えて紹介した。
「感情・体調センシング」システムは、カメラとサーモカメラを用いて収集した複数の生体情報から、人間の状態を推定し高度に可視化することができる。「非接触型デバイスによるセンシングに重点を置き開発した」(説明員)と話す。
カメラの画像からは、「顔の表情」や「目の瞬き」「脈拍」などの情報を収集する。サーモカメラの画像からは、「皮膚の温度」や「放熱量」を収集する。これらのデータを独自のAI(人工知能)技術で処理し、感情や体調を推定する。目の瞬きや表情に関する約1800のパラメーターと眠気の関係を分析したデータに基づいて処理することで、眠気レベルを推定できるという。
ブースでは、ラッセル円環モデルを用いて、顔の表情などからリアルタイムに感情を可視化するデモを行った。例えば、処理したデータの分析結果が、中央より右側であれば快適であり、左側に行くほど不快と感じている。上側にあれば意識がはっきりしている状態で、下側だと眠気がある状態を示しているという。
デモ用の表示画面には、目の輪郭や眉毛の動き、口角などをモニタリングしている画像やこれらデータの時間的変化、サーモカメラによる放熱量や実測データなどが表示された。放熱量と眠気の関係性についても、千葉大学との共同開発で解明しており、15分後の眠気予測が可能だという。「これらのデータを基に、空調機器の温度やオーディオ機器の音量を適切に制御すれば、運転者などの眠気レベルを進行させずに、覚醒状態を維持することができる」という。
安心、安全な自動車の運転や働き方改善などの他、「ショールームなどで顧客が商品を検討する時に、好感を持っているかどうかを判定するデータにもなる」として、マーケティングなどにも活用できるとみている。
衣服をウェアラブルデバイスに進化させる
ストレッチャブル材料技術と加工プロセス技術を融合することで、衣服をウェアラブルデバイスに進化させることができる、しなやかなパッチデバイス「WEARABLE MAKER PATCH」のコンセプトも提案した。応用例を具体的に示すことで、ウェアラブルデバイスの開発と実用化を加速していく。
WEARABLE MAKER PATCHは、伸縮自在なストレッチャブル回路に、汎用部品や無線モジュール、センサー製品などをはんだ実装したモジュール製品である。ブースには、脈拍センサーや温度センサー、タッチセンサー、加速度センサー、水分センサー、LED光源、ブザー、Bluetooth Low Energy(BLE)モジュールなどをそれぞれ実装した、各種パッチデバイスを参考展示した。デモ用に用意した試作品は7cm角のサイズである。
ブースでは、胸部にパッチデバイスを取り付けたTシャツを着た子供のマネキンと、スマホを使ってデモを行った。このパッチデバイスにはBLEモジュールや加速度センサー、ブザー、LEDおよび、バッテリーなどが実装されている。スマホとマネキンが一定の距離以上離れると、「LOST」の文字がスマホ画面に表示され、アラート音を発する。加速度センサーのデータから、子供の動きをスマホで監視することもできる。パッチデバイスに実装されたLED光源を遠隔地から点灯させることも可能である。
パッチデバイスを可能にしたのが、2015年12月に発表した新素材「ストレッチャブル樹脂フィルム」の技術である。柔らかく、しなやかなフィルム状の絶縁材料で、伸張性や内部応力の緩和、復元率などに優れているという。新素材に加えて、伸縮自在な透明電極材料と配線用導電ペーストも同時に開発し提供している。
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