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阪大など、逆時空間で光と電子の接触・反発を観測量子コンピュータの実用化に前進

大阪大学の馬場基彰氏らは、逆時空間において光と電子の接触および、反発を観測することに成功した。量子コンピュータのノイズ問題に対する、新たな解決法につながる公算が大きい。

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光と電子が極めて強く一体化

 大阪大学大学院基礎工学研究科の馬場基彰招へい教員(兼科学技術振興機構さきがけ研究者)は2018年5月、米国ライス大学の河野淳一郎教授とウェイルー・ガオ氏らとともに、逆時空間において光と電子の接触および、反発を観測することに成功したと発表した。今回の研究成果は、量子コンピュータのノイズ問題に対する、新たな解決法につながる公算が大きいという。

 光は、鏡の中の電子に接触し反発することで反射する。ところが、この現象を観測するには特別な実験装置が必要であった。これを比較的容易にするのが、逆時空間による観測である。この方法では光を波長ごとに分け、どの波長(色)がどれだけ含まれているかを測定する。

 河野氏らの研究グループは今回、方向をそろえて敷き詰めたカーボンナノチューブ(CNT)の膜を作製し、その両面に光を反射させる鏡を取り付けた。試料を回転させ、プリズムのようなもので分光しながら、試料を透過する光の量を測定した。これによって、逆時間と2次元の逆空間において、光とCNT中の電子が接触し反発する様子を観測した。


観測した逆時空間での光と電子の接触と反発の様子 出典:大阪大学、科学技術振興機構(JST)

 逆時空間では、電子がほぼ平面の形となり、光は角が丸まった円すい型を示した。試料を回転させると、ある方位では電子と光が接触し、それと垂直な方位では反発することが分かった。しかし、実際には光が鏡の外に漏れ出るため、実験結果のみで接触しているかどうかは断定できなかったという。そこで馬場氏は、光の漏れを考慮しつつ理論解析を行い、光と電子が接触していることを確認した。

 今回の研究で作製した試料は、光と電子が極めて強く一体化していることが分かった。この技術を活用すると、ノイズの影響を受けない光子を作り出すことができるという。研究グループは研究成果について、「量子情報技術が直面しているノイズ問題に対して、新たな解決法を確立できる可能性がある」とみている。

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