車載ネットワークの進化に勝機を見る、Marvellの戦略:Marvell車載事業トップインタビュー(3/3 ページ)
ストレージやネットワークなどに強みを持つファブレス半導体ベンダーのMarvell Semiconductorで、オートモーティブ担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネジャーのWill Chu氏に、将来の自動車に求められるエレクトロニクス技術や同社の事業戦略について聞いた。
極めて重要度が高い日本市場、JASPAR認定も取得
EETJ 日本市場について、どのようにお考えですか。
Chu氏 極めて重要なマーケットだ。世界的なOEMや、Tier1などビッグサプライヤーが多く存在しており、その各社が独自のキャラクターやビジネスモデルを持っている。自動車業界エコシステムの一員として、Marvellは特徴ある顧客のそれぞれ異なる要求事項に対して適切なサポートを行っている。
例えば、いつごろまでにどのレベルの自動運転を実現したいかといったビジネスプランは同じ自動車業界であっても顧客によって異なるだろう。Marvellは、製品ポートフォリオにあるどのような製品であれ、それぞれの顧客の要求に応えられるものを供給する方針だ。
特に、日本市場に関連する最近のトピックとして、1000BASE-T1準拠の車載イーサネットPHYトランシーバーIC「88Q2112」がJASPAR1)の適合性試験を受け、合格している。この取り組みからも、日本市場に対するMarvellのコミットメントが示されているだろう。
1)JASPAR(Japan Automotive Software Platform and Architecture)は車載ネットワーク、ソフトウェアなどの標準化団体。日本国内のOEMやサプライヤーが加盟しており、技術ガイドラインを提供している。
EETJ 日本の顧客に対して、要望や提案はありますか。
Chu氏 日本の自動車産業は、日本で、そして世界のマーケットで大変な成功を収めており、大きな強みを持っている。むしろ、日本の顧客がさらなる成功を収めるためにMarvellは何ができるかということをアドバイスして欲しい。
特に日本において、オートモーティブサプライヤーとしてMarvellがよく知られているかというと、まだまだだと感じている。次世代の自動車技術開発に貢献する製品ポートフォリオをMarvellは持っているので、日本の顧客にも使っていただきたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 車載イーサネット、ついにギガビット時代へ
Marvell Semiconductor(マーベル セミコンダクター)は、次世代車両向けイーサネット市場でリーダー的役割を果たしていく考えである。車載向けギガビットイーサネットに対応するPHYトランシーバーICや開発プラットフォームの供給で先行する。 - MarvellがCaviumを60億ドルで買収
Marvell Technology Group(マーベル・テクノロジー・グループ)は2017年11月20日(米国時間)、Cavium(カビウム)を買収すると発表した。買収総額は約60億米ドル(約6700億円)。 - MarvellのCavium買収、アナリストは好感
Marvell Technology GroupによるCaviumの買収は、アナリストからはおおむね好感触を得られているようだ。 - 車載市場で“逆転”狙うルネサス
NXP Semiconductors(NXPセミコンダクターズ)によるFreescale Semiconductor(フリースケール・セミコンダクター)の買収が完了したのは、約1年前だ。これによりNXPは車載半導体サプライヤーのランキングで首位に立ったが、NXPが統合作業を進める間、ルネサス エレクトロニクスも同市場でのシェアをさらに伸ばしていたようだ。 - あらゆる半導体でシェア向上狙う TIの車載戦略
Texas Instruments(TI)は2017年10月19日、車載向け半導体事業戦略説明会を都内で開催し、自動車に必要とされるあらゆる半導体を網羅する品ぞろえを強みとして、事業規模の拡大を図っていくとした。 - 自動車市場に本腰を入れる台湾
台湾が、本格的に自動車市場に狙いを定めている。現時点では、自動車分野にキープレイヤーとなる台湾メーカーはないものの、PC事業やファウンドリー事業における成功事例を持つ台湾は、車載分野においても力をつけていく可能性がある。