1608サイズ白色チップLED、寿命と実装性を両立:新開発の封止樹脂材料を採用
ロームは、1608(1.6×0.8mm)サイズの白色チップLED「SMLD12WBN1W」を開発した。モールドの封止樹脂に新開発の材料を採用することで、長寿命化と高い実装性を両立させた。
光度劣化を改善し、モールド強度を強化
ロームは2019年2月、1608(1.6×0.8mm)サイズの白色チップLED「SMLD12WBN1W」を開発したと発表した。モールドの封止樹脂に新開発の材料を採用することで、長寿命化と高い実装性を両立させた。産業機器用表示パネルなどの用途に向ける。
同社は、パッケージが1608サイズのチップLEDとしてこれまで、赤から緑までの発光色で10製品を用意してきた。最近は産業機器や民生機器において、数字表示やインジケーター光源として用いる小型の白色LEDの需要が高まっているという。ところが、産業機器の用途に用いる白色LEDは、長時間通電による光度劣化や、実装時におけるモールドの強度などが課題となっていた。
これまでモールドの封止樹脂には、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂が用いられてきた。特に小型モールドタイプのLEDは、一般的に硬度の高いエポキシ樹脂を用いており、白色を含む短波長(527nm以下)のLEDは、光エネルギーで樹脂が黄変をすることがあった。
新製品は新たな樹脂を採用し、この課題を解決した。25℃でIF=20mA、1000時間の通電試験を行ったところ、光度を100%維持することができた。これを光度残存度で従来樹脂と比べた場合、約20倍の長寿命化に相当するという。
新たな樹脂を採用したことで、モールド強度も高めた。150℃の高温条件で接合強度を測定したところ、2.21kgfとなった。この数値はエポキシ樹脂品には及ばないものの、光度劣化の少ないシリコーン樹脂品に比べると接合強度は約25倍となり、高い実装性を確保したことになる。
新製品は既に量産出荷を始めている。サンプル価格(税別)は90円である。チップワンストップやザイコストア(コアスタッフ)、アールエスコンポーネンツのウェブサイトから購入することができる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ローム、車載向けワイヤレス給電ソリューション
ロームは、NFC(Near Field Communication)に対応した車載向けワイヤレス給電ソリューションを開発した。 - ロームとGaN Systemsが協業、将来的に共同生産も
ロームとGaN Systems(ガンシステムズ)は2018年6月5日、GaN(窒化ガリウム)パワーデバイス事業における協業を開始したと発表した。 - 600億円の投資を始めるローム、SiCでトップ狙う
ロームは2018年4月10日、SiC(炭化ケイ素)パワーデバイスに関する成長戦略を説明した。2025年に市場トップとなる市場シェア30%の獲得を目指し、累積で約600億円の投資を行う方針だ。 - ローム、車載スピードメーター向けレンズ付きLED
ロームは、車載スピードメーターのインジケーター光源用途に向け、小型で高出力のレンズ付きLED「CSL0901/0902」シリーズを発表した。 - ロームがオーディオ向けブランドを始動、音質の秘訣は
ロームはオーディオ機器向けデバイス事業の推進に意欲を高めている。同社のオーディオIC製品ラインアップの中でも最高峰モデルとなる数種に、新ブランド「ROHM Musical Device『MUS-IC』」を冠し、オーディオ機器メーカーやエンドユーザーに対して技術力を訴求する。 - 京大、ロームなどの無線機がWi-SUN FAN認証を取得
京都大学と日新システムズ、ロームの3者は2019年2月4日、共同で開発したIoT(モノのインターネット)向け無線機が、Wi-SUNアライアンスが行った無線通信規格「Wi-SUN FAN(Field Area Network)」の認証試験に合格し、認証を取得したと発表した。3者は、「Wi-SUN FANの認証取得は世界で初めて」としている。