HDD大手Seagateの四半期業績は前年比と前期比のいずれも減収減益に:福田昭のストレージ通信(137)(2/2 ページ)
ハードディスク装置(HDD)の大手ベンダーである米Western Digital(以降はWDと表記)と米Seagate Technology(以降はSeagateと表記)が、四半期の業績を相次いで公表した。発表日(現地時間)はWDが2019年1月24日、Seagateが2月4日である。そこで前回と今回は、WDとSeagateの四半期業績をご説明している。前回はWDの四半期業績をご説明した。今回はSeagateの四半期業績をご紹介する。
ニアラインHDDの総出荷記憶容量とドライブ容量が急減
Seagateは、HDDの総出荷記憶容量と1台当たりの記憶容量を応用分野別に公表している。応用分野は、「エンタープライズ向け」、「エッジ(クライアント)の非コンピュータ(ビデオレコーダーや監視カメラ、ゲーム機など)向け」、「エッジ(クライアント)のコンピュータ(デスクトップPCとノートPC)向け」、である。
2019会計年度第2四半期(2018年10月〜12月期)で最も注目すべきは、エンタープライズ向けの主役である、ニアラインHDDの総出荷記憶容量だろう。ニアラインHDDの総出荷記憶容量は、2018会計年度第1四半期(2017年7月〜9月期)から2018会計年度第4四半期(2018年4月〜6月期)まで、4四半期連続で増加してきた。増加の勢いはかなり強い。最近のボトム(底)である2017会計年度第4四半期(2017年4月〜6月期)における総出荷記憶容量は21.2エクサバイト(EB)である。これが1年後の2018会計年度第4四半期(2018年4月〜6月期)には、44.5EBと2倍強に急増した。
しかし2019会計年度第1四半期(2018年7月〜9月期)には、前四半期比で4.5%減の42.5EBとなり、増加が止まった。続く2019会計年度第2四半期(2018年10月〜12月期)は、前四半期比で22.4%減と大幅に縮小した。同期の総出荷記憶容量は33.0EBである。前年同期の35.1EBをも割り込んだ。
ニアラインHDDは総出荷記憶容量の拡大とともに、ドライブ1台当たりの平均記憶容量の拡大も牽引してきた。エンタープライズ向けHDDのドライブ1台当たりの記憶容量は、2018会計年度第4四半期(2018年4月〜6月期)には5.3テラバイト(TB)に達していた。1年前の2017会計年度第4四半期(2017年4月〜6月期)にはドライブ当たりの記憶容量は3.4TBだったので、1年間で1.56倍に増加したことになる。
しかし2019会計年度第1四半期(2018年7月〜9月期)には、ドライブ当たりの記憶容量は5.2TBと前の四半期に比べると微かに減少し、拡大が止まった。続く2019会計年度第2四半期(2018年10月〜12月期)には、ドライブ当たりの記憶容量は4.5TBとなった。前の四半期に比べると13.5%減である。
(次回へ続く)
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