5G小型基地局向け、95℃の高温に対応する小型OCXO:日本電波工業が展示(2/2 ページ)
日本電波工業は、「ワイヤレステクノロジーパーク(WTP)2019」(2019年5月29〜31日、東京ビッグサイト)で、最大95℃までの高温に対応できる、5G(第5世代移動通信)小型基地局向けの小型OCXO(恒温槽付水晶発振器)「NH9070WC」を参考出展した。
振動、衝撃の影響を元から抑制
振動や衝撃によるノイズなどの影響を抑制する低加速度感度水晶発振器TCXO(温度補償水晶発振器)「NT72016SGA/NT3225SGA」も展示されていた。
NT2016SGAは、2.0×1.6×0.7mmサイズの小型パッケージ製品で、精度は−40〜+85℃の温度範囲で±0.5ppm、出力周波数は24MHz、25MHz、26MHz、40MHzだ。NT3225SGAは、3.2×2.5×1.1mmパッケージの製品で、精度は−40〜+85℃の温度範囲で±0.28ppm、出力周波数は25MHzだ。
近年、基地局の設置場所の多様化や設備の小型化により、冷却ファンなどの影響を受けやすい場所に水晶製品が搭載され、それらの振動による水晶製品の特性劣化が、通信品質の劣化を招くことが懸念されてるという。
また、近年普及しているQAM(直交振幅変調)方式は、256QAMから1024QAMが実用化段階にあるほか、4096QAMの研究も進んでいるが、多値化が進むほどノイズに敏感になることから、通信品質を安定化するため、発振器の振動対策は課題となっている。
同社は、今回、独自に開発した構造によって、水晶製品の特性劣化を抑え、加速度感度0.1ppb/G以下という低感度を実現した。これは、従来の同サイズ製品と比較し、約10倍以上の性能だという。同社の説明担当者は、「振動や衝撃による影響を元から抑制することによって、水晶発振器の振動対策が不要になる」と説明していた。
NT72016SGAとNT3225SGAは、いずれも現在サンプル出荷対応中だという。
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