パナソニック、新TOF方式距離画像センサーを開発:長距離でも10cm間隔の測距精度
パナソニック インダストリアルソリューションズ社は、アバランシェフォトダイオード(APD)画素を用いた新型TOF(Time-of-Flight)方式距離画像センサーを開発した。
「縦積型APD」と「積算フォトン分割間接TOF技術」で実現
パナソニック インダストリアルソリューションズ社は2020年2月、アバランシェフォトダイオード(APD)画素を用いた新型TOF(Time-of-Flight)方式距離画像センサーを開発したと発表した。車載用途などで、高い解像度と感度を実現し、250m先の物体検出を可能にする。
同社は、APD画素を用いたTOF方式距離画像センサー(APD-TOFセンサー)技術を2018年6月に発表している。この技術をベースに、今回は縦積型APD(VAPD)を開発した。光電子を増幅する「電子増倍部」と電子を保持する「電子蓄積部」を縦積にした構造である。
この結果、6μmピッチの微細画素の形成に成功し、画像センサーとして信号増幅1万倍の感度と100万画素の解像度を両立した。同社従来製品に比べて解像度は4倍となる。
さらに、新型TOF方式距離画像センサーは、新たに開発した「積算フォトン分割間接TOF技術」を用いている。これにより、長距離でも高い測距精度を実現した。
一般的なTOFセンサーは、微弱な光信号を検知することができないため、近距離の測距しかできなかった。2018年に同社が発表したAPD-TOFセンサー技術は、確率的に飛来する光子の到達回数を数える独自回路を全APD画素に内蔵した。この微弱光検知技術を用いた独自の短パルスTOF方式により、近距離から250mの遠距離まで1.5m間隔の測距精度を実現した。
さらに今回、光子の到達回数を積算信号に変換し、近距離用に使われている間接TOF演算を適用した「積算フォトン分割間接TOF技術」を開発した。この技術を用いることで、10mから100mの長距離でも、10cm間隔の距離精度を有する三次元距離画像を得ることが可能となった。このため、遠く離れた場所にいる人物や小さい物体の位置、形状を判別し、精度よく検出できるという。
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