東芝、高周波IC向け最新SOIプロセス技術を開発:8GHzで最小雑音指数0.48dBを達成
東芝デバイス&ストレージは、5G(第5世代移動通信)対応スマートフォンなどに向けた高周波スイッチ/低雑音アンプ(LNA)ICを製造するためのSOI(Silicon On Insulator)プロセス技術「TaRF11」を新たに開発した。
LNA、高周波スイッチ、制御回路をワンチップに集積
東芝デバイス&ストレージは2020年2月、5G(第5世代移動通信)対応スマートフォンなどに向けた高周波スイッチ/低雑音アンプ(LNA)ICを製造するためのSOI(Silicon On Insulator)プロセス技術「TaRF11」を新たに開発したと発表した。
スマートフォンやWi-Fiなどの無線機器は、高速・大容量通信に向けて無線帯域が高周波化している。これに伴い、アンテナと受信回路間の信号ロスが増えている。こうした課題を解決するために、LNAの特性向上などが求められているという。
同社は、高周波半導体向けに独自開発したSOI-CMOSフロントエンドプロセス「TarfSOI」を用い、高周波デバイスを製造してきた。TaRF11は、既存のプロセス技術「TaRF10」に比べて特性を改善した。
例えば、TaRF11を用いて製造したLNA用MOSFETは、周波数8GHzにおける最小雑音指数(NFmin)が0.48dBである。TaRF10を用いた製品に比べると約0.3dBも改善している。また、これまでのように、LNAと高周波スイッチおよび、制御回路をワンチップに集積することができる。なお、製造はグループ会社「ジャパンセミコンダクター」で生産する。
同社は引き続き、TarfSOIプロセスの高性能化に取り組む。その上で、7G〜10GHz帯のUWB(超広帯域無線システム)などに向けた高周波スイッチ/LNA ICなども開発していく計画である。
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