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5G導入が加速、産業用では「スタンドアロン」待ちモバイルでは採用が進むも(2/2 ページ)

世界各国のモバイルネットワーク通信事業者は、5G(第5世代移動通信)技術の導入をおおむねうまく進めてきたといえるだろう。今まさに、これまでの膨大な投資に対する必要な見返りを得ようとしているところだ。

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「本物の5G」スタンドアロン仕様への期待

 一方で5Gにおける本当の意味での変革は、B to B(Business to Business)のユースケースや、業界が長年にわたり実現を試みてきた無数の産業向けアプリケーションで5Gが導入された時に起こるといえるのではないか。

 このようなアプリケーションの大半は、“本物の5G”と称される「5Gスタンドアロン(SA)」の登場を待たなければならない。このバージョンは、他の接続を不要にするために開発され、ネットワークスライシングなどの最先端技術をサポートすることが可能だ。

 業界は、3GPPによるリリース16策定完了(2020年7月)を受け、さまざまなアプリケーションやユースケースの実現に向けて大きな一歩を踏み出した。

 GSAのプレジデントを務めるJoe Barrett氏は、EE Timesのインタビューに応じ、「リリース16は、これまでにない新しいサービスや5G対応プライベートネットワーク(いわゆるローカル5G)の実現に向け、非常に重要な触媒としての役割を担うことが実証されるだろう。今後1年の間に、リリース16規格による開発への影響が生じるとみられるため、エンタープライズ分野において、より多くの活動が行われる見込みだ」と述べている。

 同氏は、「オペレーターは今後、さまざまな取り組みを進めるとみられるが、自社専用の帯域幅を取得した企業が、ローカル5Gを利用して新たなチャンスを創出しようとする動きも増えているようだ」と付け加える。

 「米連邦通信委員会(FCC:Federal Communications Commission)が数カ月前に実施した周波数帯オークションを見ても、全くの新しい参入者たちが、プライベートネットワークに関しては言うまでもなく、IoT(モノのインターネット)やFA(ファクトリーオートメーション)、ヘルスケア、農業などのサービスに向けた新型アプリケーションを作り出そうとしていることが分かる」(同氏)

 同氏は、「こうした取り組みの多くは、Cバンド(マイクロ波/6GHz帯付近)やミリ波などのさまざまな帯域においてスペクトルを利用できるようにしたり、必要な光ファイバーインフラの構築を並行してサポートしていく上で、政府規制に従う必要がある」とも説明した。

 さらに同氏は、「5Gは、長い時間をかけて成果を達成していくとみられるため、かなり楽観視できるのではないか。5Gの導入は既に、旧世代技術より速いスピードで進んでいる」と主張する。

 地域差についてもう一度見てみると、5G SAの大規模な導入を最初に実現し、重要なユースケースを創出するのは、中国である可能性が高い。

 GSAによると、中国の一部の通信事業者は、既に野心的な予測の実現に向けて準備態勢を整えているという。例えばChina Mobileは、スマートグリッドや自動運転、インテリジェントヘルスケア関連のプロジェクト、インテリジェント教育、航空ネットワーク、インテリジェント農業など、10項目の垂直型の産業的機会をターゲットに定めている。

 一方China Telecomは、メディア分野や産業ネットワーク、CCTV、インテリジェントヘルスケア/教育、物流などに注力していくことをビジョンとして掲げているという。

 それでもやはり、米国のT-Mobileは、3GPPが5G SA規格の最終版をリリースしてからわずか数週間後に、業界初となる商用化されたスタンドアロン5Gネットワークの1つを導入したことで、幅広く認められているようだ。他の米国の通信事業者たちも、負けず劣らずいい勝負をしているという。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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